ski経営サポートオフィスの社労士コラム

派遣先の使用者責任に関する最近の判例

2013.01.14

㈱阪急交通社が派遣先から派遣された添乗員に対し、労組法第7条の「使用者」に当たると判断されました。

労働時間の管理に対して、労働組合からの団体交渉の要求を、労組法第7条の使用者に当たらないとして拒否していましたが、使用者に当たると判断されました。

判断の要旨

「本件団交申入れ事項のうち、労働時間管理に関する要求事項について、会社は、添乗業務につき労働基準法第38条の2第1項の事業場外みなし規定の適用があるものとして、労働時間管理を行っていない。 しかしながら、本件においては、添乗員の添乗業務の遂行については会社が提示する詳細かつ具体的な旅程に従うことが原則となっており、これを大きく変更する場合に会社の指示を直ちに仰ぐ仕組みが整っており、帰国後は添乗員に詳細な報告書及び日報を提出させていたのであり、会社はこれらの管理手段を用いることにより、各企画旅行の添乗業務につき相当に正確に労働時間を把握することが可能であったものと認められることから、事業場外みなし労働時間制が適用される状況にあるとはいえず、会社は、労働基準法の規定に反して、労働時間管理を行っていなかったものと認めるのが相当である。そして本件団交申入れ事項のうち、労働時間管理に関する要求事項は、労働者派遣法のみなし規定により、派遣先事業主が特別の責任を課されている事項であると認められる。」

この判例は、労働組合の団体交渉の拒否についての訴えによるものですが、みなし労働時間に当たるか当たらないかについても判断を述べています。

この派遣添乗員は、派遣先である㈱阪急交通社から就業の日時、時間、場所、内容といった就業の諸条件について、具体的な指示を受けており、労働者の基本的な労働条件に対して雇用主と同視できる程度に支配力を有しており、労組法7条の「使用者」に該当するという判断が下されました。

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