ski経営サポートオフィスの社労士コラム

パートタイム労働法が改正に

2014.05.10

 4月23日、改正パートタイム労働法が交付されました。施行の時期はまだ決まっていませんが、正社員とパートタイム労働者の基準を明確にし、就業規則に規定する等対策の必要があります。

 ここでいうパートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されています。

  パートタイム労働法では,「業務内容及び責任の程度が通常の労働者と同一のパートタイマーであれば、慣行等からみて,

 その職務の内容及び配置が正社員の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一と見込まれるものについては,

 パートタイマーであることを理由として,賃金の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的取扱いをしてはならない」(法8条1項)と規定しています。

改正のポイント

1.正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

 正社員と差別的な取扱いが禁止されるパートタイム労働者については、これまで、

(1) 職務内容が正社員と同一

(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一

(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であること

とされていましたが、

 改正後は、(1)、(2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます。

2.「短時間労働者の待遇の原則」の新設

 事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全てのパートタイム労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます。

3.パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

 事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととなります。

  • 賃金制度はどうなっているか
  • どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるか
  • どのような正社員転換推進措置があるか

4.パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設

 事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなります。

  • 相談担当者を決め、相談に対応させる
  • 事業主自身が相談担当者となり、相談対応を行う

 正社員とパートの待遇の相違は、発生時や臨時・緊急時に求められる対応の程度,成果への期待度などを総合的に比較し判断します。たとえば,

 ①工場で,正社員と同じ製造ラインに配置されており,品質管理等を正社員と同様に行なっているパートタイム労働者

②介護事業所などで、同じ介護サービスを行い、正社員と同等の役割、責任、対応が求められるパートタイム労働者

③スーパーで、パートタイマーと同じ作業、業務内容、責任度の正社員がいる場合など、

これに該当することがあります。

 人材活用の仕組みや運用などが正社員と同じとは、転勤の有無及びその範囲「職務内容」「配置」等とされています。人事異動や昇進はない場合、該当すると思われます。

 この場合には,賃金の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,同一に取り扱うことが義務付けられます。

 もっとも,当該労働者の能力や職務の成果に応じた評価に基づいて,パートタイム労働者と待遇に差が生じることまでは,禁止されているわけではありません。

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