ski経営サポートオフィスの社労士コラム

労災のケガなのに健康保険を使ってしまった場合は

2014.01.08

従業員が仕事中にケガをしたのに、労災保険ではなく医療機関の窓口で健康保険証を出して治療を受けてしまったということは時々耳にしますが、この場合どのように対処すればいいのでしょうか?

治療を受けた医療機関に、今からその治療を健康保険から労災保険に切り替えられるかどうか確認をしてもらう必要があります。

切り替えができる場合

切り替えができる場合には、比較的簡単です。医療機関の窓口で、3割払った医療費を返還してもらってください。そして、変わりに労災保険の用紙を提出することになります

業務災害の場合は、5号様式(療養補償給付たる療養の給付請求書)を、通勤災害の場合は、第16号の3様式(療養給付たる療養の給付請求書)を提出します。

切り替えられない場合

切り替えられない場合は、治療費のすべてを一旦、本人に立て替えてもらいます。これは協会けんぽに対しての立て替えになります。

具体的には

  1. 協会けんぽに連絡をし、受けた治療について労働災害であったことを伝えます。すると、協会けんぽから医療費返納の通知書と納付書が送られてきます。
  2. その後、送られてきた納付書で7割分の医療費を返納することになります。                つまり、既に医療機関の窓口で支払った3割とこの7割で、全額立て替えをしたことになります。返納すると協会けんぽから領収書が届きますので、その後労災保険への請求をすることとなります。
  3. 7号様式(療養補償給付たる療養の費用請求書)を記載した上で、返納金の領収書と医療機関の窓口で支払った3割分の領収書を添付して労働基準監督署へ提出することになります。これはいずれも原本の提出になります。
  4. 労働基準監督署に提出した後は、その内容が確認され、7号様式に記載された金融機関の口座に医療費の10割の額が振り込まれることになります。

医療機関は診療報酬明細書(レセプト)を協会けんぽに送って、保険請求をし、7割分を支払ってもらうことになりますが、このレセプトが協会けんぽに届くまでに受診から2~3ヶ月程度かかるようです。

つまり、労働災害と連絡しても、このレセプトが届いていないと返納の通知ができず、労災保険への請求もできないことになります。

なお、切り替えの際に協会けんぽから負傷原因報告書に負傷原因を記入するように求められることがあるほか、医療費の請求について、レセプトの写しが必要になる場合があります。

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