ski経営サポートオフィスの社労士コラム
上司と部下のコミュニケーション
2014.09.13
公益財団法人日本生産性本部から日本の課長と一般社員に関するアンケート結果が発表されました。
これは、管理職層の回答の中から課長職のみの回答417件、一般社員層の回答の中からは入社2年目社員から係長・主任・職場リーダークラス(部下評価権限のない方々)までの回答1045件を抽出し、比較分析を行ったもので、結果概要は以下のとおりです。
部下の意欲、能力に対する現状認識
部下、または後輩の仕事への「やる気を感じている」課長は78.2%。
一方、能力や仕事ぶりに満足している課長は42.7%
- 部下、または後輩の仕事に対する意欲について「やる気を感じる」と回答した課長は78.2%で、多くの課長が部下、後輩の仕事への「やる気」を実感していることがわかる。 一方で、部下または後輩の仕事ぶりについて「満足している」課長は42.7%、能力について「満足している」課長は37.9%にとどまった。
- 自分自身の仕事への意欲について「意欲が高い」と回答した一般社員は、54.5%であった。一方で、自分自身の今の能力に「満足している」のは7.8%に過ぎず、「満足していない」のは91.9%。圧倒的に満足していない一般社員が多いことが分かった。
育成、能力開発への意識
人材育成を「自分の役割である」と回答した課長は93.3%。
一方、部下、または後輩に対し個別の育成目標を持っている課長は55.4%
- 人材育成について、「自分の役割である」と回答した課長は93.3%に上った。また、部下、または後輩の育成について「面倒だとは感じない」と回答した課長は75.1%であった。一方で、一般社員の88.3%が、自分自身の能力を今後「高めたいと感じている」。
- 人材育成を「自分の役割」と認識する課長が多い中で、部下、または後輩に対し個別の育成目標を「持っている」課長は55.4%。また、その目標を「伝えている」課長は47%に留まった。また、「あなたは、上司があなたを育成しようとしていると思いますか」との問いに対し、「育成しようとしている」と回答した一般社員が75%に上る一方、上司から能力開発についての説明を「受けている」一般社員は35.1%、「受けていない」一般社員は64.2%となった。
育成の実践
部下または後輩の育成を行っている課長は、81.8%
褒めることが「育成につながる」と思う課長は98.1%
叱ることが「育成につながる」と思う課長は87.8%
- 「あなたは部下または後輩の育成を行なっていますか?」との問いに対し、「行っている」と回答した課長は81.8%に上ったものの、「あなたは、部下または後輩を育成することについて自信がありますか?」との問いに「自信がある」と回答した課長は40.8%にとどまった。
- あなたは部下、または後輩を褒めることについてどのように考えていますか?との問いに対して、「育成につながる」と回答した課長は、98.1%に上った。そして、あなたは部下を褒めますか?との問いに対しては、「褒めている」と回答した課長は78.4%に上った。一方、上司はあなたを褒めますか?との問いに対し「褒める方だ」と回答した一般社員は48.6%に留まっている。課長の「褒めている」実感と、一般社員の「褒められている」実感には、大きな隔たりがあることが伺える。
- あなたは部下、または後輩を叱ることについてどのように考えていますか?との問いに対して、「育成につながる」と回答した課長は、87.8%に上った。一方、「あなたは上司から叱られるとどのように感じますか?」との問いに対して、「やる気になる」と回答した一般社員は38.0%、「やる気を失う」と回答した一般社員は60.0%となった。叱る側の上司の思いと叱られる側の一般社員の側の受け取り方に隔たりがあることがわかる。
コミュ二ケーション
課長・一般社員とも業務上のコミュニケーションは取れていると感じているものの、「相談」に関する認識には25.7ポイントの差がある。
- 「部下または後輩との業務上のコミュニケーションについて、どのように感じていますか?」の設問と「上司との業務上でのコミュニケーションについては、どのように感じていますか?」の設問に対し、課長の83%、一般社員の72.3%が「コミュニケーションは取れている」と感じている。
- 「あなたは、部下または後輩があなたに相談を持ちかけてくる方だと思いますか?」の設問と「あなたは上司に相談を持ちかけますか?」の設問に対し、以下のような回答結果となった。部下、または後輩が「相談に来る」と回答した課長が84.9%であるのに対し、上司に「よく相談する」と回答した一般社員は、59.2%に留まり、「めったに相談しない」と回答した割合が、37.9%に至った。
- 「あなたは相手に対して的確に物事を伝える自信がありますか?」との設問に対して、「自信がある」と回答した課長は51.6%だったのに対して、一般社員は26.5%に留まった。一方「自信がない」と回答したのは課長が48.2%、一般社員が73.1%に上った。
こうして見ると、育成指導する側の上司と指導される側の部下の意識には大きなへだたりがあることが分かります。
コミュニケーションは、よくキャッチボールに例えられます。子供相手にキャッチボールをするときは、子供でも取れるようなボールを投げると思います。「いつも上司は相手のことを考えず必ず全力でボールを投げてくる。」と言われないように、相手が取れるようなボールを投げてあげることが大切です。