ski経営サポートオフィスの社労士コラム
【06:社員満足度を向上させたい】記事一覧
- 2017.02.08
- 確定拠出年金(DC)③
- 2017.01.28
- 確定拠出年金(DC)②
- 2016.11.12
- 確定拠出年金(DC)①
確定拠出年金(DC)③
企業型確定拠出年金(DC)
選択制
企業型DCに「選択制」という仕組みがあります。企業型のDCは月に最大55,000円まで掛け金を積み立てることができます。会社の全員が掛け金を積み立てるのが通常ですが、選択制では、掛け金をDCとして積み立てるか、積み立てずに給料でそのままもらうか選べぶことができます。
選択制にすれば、役員だけとか従業員でも積み立てしたい人だけが掛け金を積み立てることができます。
選択制では、DCの掛け金として積み立てる分には所得税や社会保険料の対象にななりませんが、給料としてもらう場合は所得税がかかかります。健康保険や厚生年金の保険料の計算の対象にもなります。
掛け金
大企業ではDCの掛け金を会社が負担している場合が多いのですが、中小企業では、給料の中から掛け金を捻出する場合がほとんどです。給料の額を減らしてその差額を掛け金として積み立てる訳です。掛け金分その時の給料の手取りは減りますが、掛け金は将来の年金として積み立てられていきます。税金や社会保険料が減るので、全体で見れば有利な制度です。
掛け金も最低3,000円から1,000円単位で積み立てることができます。金額の変更の時期も会社の規程で1年に1回とか自由に決めることができます。
この掛け金は最大55,000円まで積み立てることがきるので、給料から減額する金額も最大55,000円となります。掛け金は給料天引きではなく、給料支給前の段階で会社の経費として拠出します。
従業員は、積み立てをせずに55,000円分は給料として今まで通りもらうか3,000円から55,000円の範囲で掛け金を積み立てるか選択することができます。掛け金の原資の心配もなく従業員の意思で選択してもらうことができるので、負担を少なくしてDCを会社に導入することができます。積み立てしたくない従業員はいままで通りの給料の額なので、充分な説明があれば、導入に反対する人も少ないでしょう。
デメリット
節税や社会保険料の削減などお得な事ばかりの制度のようですが、デメリットもあります。
- 一度積み立てを始めると積み立てを減額することはできても辞めることができません。ただし、育児休業や介護休業などで無給になるような場合、会社の規約に定めることにより掛け金を停止することができます。
- 口座管理費用がかかります。金融機関によって金額が違うので、金融機関選びで節税メリットにも大きな違いが出ます。
- 掛け金の分、社会保険料の対象となる給料の額が減るので将来もらえる厚生年金の額も減ります。
- 60歳まで、もしくは積み立ての期間が10年未満の場合は、10年まで掛け金を引き出すことができません。
以上のようなデメリットがありますが、DCはそれを差し引いても余りあるメリットがあります。充分な説明をすることが大切なので、詳しい方を講師に招いて説明会を実施するのもいいと思います。
将来、公的年金がどうなるのか、そもそももらえるのか?という不安がある中で、大いに活用したい制度です。
確定拠出年金(DC)②
加入できる人
今回は税制の優遇制度を詳しく見ていきます。
個人型DCの対象者
まず、誰が加入できるのかですが、個人型確定拠出年金対象となるのは以下の方です。
- 自営業者やその妻、学生、無職
- 企業年金のない会社員
- 企業年金はあるが掛け金が一定額以下の会社員
- 公務員
- 会社員や公務員の妻で専業主婦
3,4,5番については2017年から対象となり、現役世代のほぼ全員が加入できるようになりました。
企業型確定拠出年金を導入すればその会社で加入できるようになります。
税金はどれだけ安くなる?
確定拠出年金の1番のメリットは、掛け金の全額が所得控除となり、税金の対象から差し引かれることです。税率×掛け金の額だけ所得税・住民税が安くなるので、税率の高い方ほど節税になります。
税率が30%の自営業者で、年間掛け金を最大の81万6千円積み立てた場合、年で244,800円の節税となります。
最低掛け金は、月5千円からで、掛け金の額は年に1回変更することができます。
途中で亡くなった場合は、その時点での資産が遺族に支払われます。
いつでも受け取れる?
原則60歳まで受け取ることができません。60歳で受け取るには、60歳までの積み立て期間が10年以上であることが条件です。
積み立て期間が10年未満の場合は、受けとることができる年齢が1年ずつ伸びていき、2年未満の場合、受け取ることができるのは65歳からになります。
運用は、70歳まですることができます。ただし、掛け金は60歳までしか掛けることができません。
金融機関の選択がポイント
確定拠出年金の掛け金には口座管理費用がかかります。金融機関によって、この費用にかなりの違いがあります。一番低いところと一番高いところでは約4倍の違いがあります。せっかく節税になっても口座管理費用が高ければ、逆ざやになりかねません。
また金融商品の品揃えにも大きな差があり、金融機関の選択がポイントとなります。この金融機関は運用商品をいったん売却して、変更することも可能です。
金融機関が破たんした場合は、預貯金については他の預貯金と合わせて1千万円まで保護され、投資商品については、破たんによって減額されることはありません。
節税して減額された税金は?
掛け金の控除に関して、所得税は、年末調整か確定申告で還付されることになります。住民税については翌年の税額が減額されます。
受け取りの時の税金は?
一時金で受け取る場合は退職控除、年金方式で受け取る場合は公的年金等控除の対象になります。
退職控除は、加入期間が20年までは年40万円、20年以降は年70万円控除されます。10年加入した場合は、受け取り額が、40万円×10年=400万円までは税金がかからないことになります。
ただし、他にも退職金がある場合は、その退職金と合算された金額となります。
公的年金等控除は、60歳から64歳までは年70万円、65歳からは年120万円までは税金が、かかりません。
ただし、この場合も他に年金がある場合は、その年金と合算した額となります。
確定拠出年金(DC)①
来年1月からの法改正で話題沸騰
法改正を受け、今、確定拠出年金(DC)の関心が高まっています。
節税しながら効率よく老後資金を確保できるお得なこの制度を知らないのは大きな損失です。
数回に分けて確定拠出年金の内容を見ていきたいと思います。
先行き不安な公的年金制度
厚生年金や国民年金などの公的年金制度。将来いったいいくらもらえるのでしょうか?
2016年時点での国民年金は1人月6万5千円ほど。厚生年金は年収によりますが、平均で月約9万円。
夫婦共働きで月31万円、妻が専業主婦で国民年金だけだと22万円。自営業者で国民年金だけの場合は月に13万円ほどになります。
一方、総務省の家計調査では高齢者夫婦の1か月の支出は約28万円。専業主婦世帯で6万円、自営業だと15万円不足していることになります。
この差をいかに埋めるかですが、今の年金制度は、このままでは10年で破たんするともいわれており、本当に将来年金をもらえるのかと疑問に思っている方も多いと思います。ますます自己防衛の必要性が高まっているといえます。
確定拠出年金制度改正
2017年1月から、個人型確定拠出年金の対象者が大幅に拡充されることになりました。今までは自営業者、企業年金のない会社員が加入の対象でしたが、新たに企業年金のある会社員、公務員、主婦などほとんど全ての現役世代の加入が可能となります。
確定拠出年金のメリット
確定拠出年金には様々なメリットがあります。
- 毎月積み立てる掛け金の全額が非課税。
- 掛け金の運用の儲けが非課税。
- 将来受け取る際にも退職所得控除や公的年金控除の対象となり優遇措置が受けられる。
- 投信の販売手数料0円。信託報酬も一般より安い場合がほとんど。
- 会社が倒産しても受け取る額は減らない。
- 転職しても全額維持できる。
- 運用商品の切り替えが何度でもできる。
- 社会保険料が下がる。
などのメリットがあり、使わないのは損と言ってもいいくらいです。
あまり一般的でない理由
メリットがいっぱいなのに、なぜあまり一般的でないのでしょうか?2016年時点での加入率は加入可能な人の0.7%です。有利さが知られていないせいですが、最大の理由は金融機関があまりもうからないからです。販売手数料が0円の確定拠出年金よりも投信を売買してもらう方が手数料が入ります。しかし、法改正を受け、積極的に取り組む金融機関も出始めています。
メリットがいっぱいの確定拠出年金ですが、あまりよく知られていないため、これから内容について詳しく説明していこうと思います。
次回に続く・・・