ski経営サポートオフィスの社労士コラム
【08:解雇】記事一覧
- 2012.03.17
- 退職時の有給休暇の消化は
- 2012.03.16
- 契約社員・パートの解雇は
- 2012.03.15
- 能力のない社員の解雇は
退職時の有給休暇の消化は
民法により、正社員(期間の定めのない労働契約を結んでいる従業員)は、2週間の予告期間をおけばいつでも労働契約を解約できます。
これより長い期間を就業規則等に定めていても、裁判で長すぎるとされた例もあります。
ですから、法的には、会社は退職届受理後は、2週間しか社員を拘束できないことになります。
残りの期間に有給休暇を取られてしまうと、退職日までその社員が、会社に出てこないという事態が考えられます。
会社は、有給休暇の取得時期を変更する権利を持っていますが、このような退職する社員には、辞めた後で有給休暇を与えることはできませんので、変更もできないことになります。
ですが、業務の引き継ぎをきちんとしてもらわないと、会社としても非常に困ります。
有給休暇の会社による買い上げなどの対策も考えられますが、法的に認められた日数分の有給休暇は与えなければなりません。
そこで、退職金の規定がある会社は、「業務の引き継ぎを誠実と行わない社員に対して、退職金の一部を不支給にする」といった規定を就業規則により定めるという対策が考えられます。
又、引き継ぎに関しては、業務引継報告書を作成し、事細かく取引先や処理案件の内容を記入してもらい、後々の引き継ぎ業務は、これを見ればわかるようにしておきましょう。
契約社員・パートの解雇は
期間の定めのある社員の解雇
契約社員やパート社員などは通常の社員と違い契約期間を定めて雇用契約をかわすのが一般的ですが、原則として労働契約の期間が過ぎれば契約は終了します。会社と従業員お互いが承知して労働契約を結んでいる場合は、問題になることはありませんが、何度も更新をしていると事情は変わってきます。
形式的には契約期間があるけれども、実際はいつまでも働くことができる様な場合、社員側もいつまでも働けるという期待や認識を持ちます。
判例でも
「当事者間の期待や、過去の更新回数、職務の内容などからみて、正社員とほとんど変わらない実態がある場合は、解雇法理が類推適用され、雇止めには厳重な要件が必要となる」
としています。
こうしたトラブルを防止するため、契約の更新時に、次回は更新をしない可能性があることを説明しておく必要があります。
又契約を自動更新にするのではなく、更新の度に新たに契約を結びなおしておきましょう。
解雇予告、解雇予告手当
労働保護法令によると、解雇予告や解雇手当の規定はパートタイマーにも適用されるとしています。
又労働契約法では、期間の定めがあるある契約では、やむを得ない事由がないときは、契約期間が終了するまで解雇できないと規定しています。
能力のない社員の解雇は
成績不振により解雇できるか
成績不振を理由に解雇する場合、まず就業規則の解雇事由に「成績不振」が明示されていることが第一条件になります。
ただ、解雇事由に「成績不振」の項目があるからといって、単なる営業不振でいきなり解雇ということはできません。
- まず、その社員に具体的な数値目標を設定してもらい、その内容が、会社が求めているレベルに達しているかどうかプロセスから見直しをしてください。会社は、自分の給料を他の人に稼いでもらっているような社員を、いつまでも面倒見ることができないということを認識させてください。
- 半年程度の期限を提示して、数値目標の達成度はどうか、成果をチェックしてください。
- 数値目標を達成していれば、いいのですが、達成していない場合は、その結果に対する改善・指導や研修などを再度行います。
- それでも、業績が上がらなければ、人事考課により、給料の引き下げや配置転換を検討することになります。
- 配置転換をする部署が無い場合などは、本人とよく話し合って、退職金の上積みなどを条件に退職勧奨をおこなうことも必要となります。
- これまでの間に自主退職することも多いのですが、あまりにも会社の運営にとって支障をきたす場合は、解雇の検討をすることになります。ただし、誠実に業務に取り組んでいる社員の場合、「業績不振」だけの理由で解雇することはかなりハードルが高いと考える必要があります。