ski経営サポートオフィスの社労士コラム
中小企業も平成31年度から残業割増50%へ
2015.02.14
中小企業も残業代が50%割増に
中小企業では、月60時間を超える時間外労働について割増率50%の適用を猶予されていましたが、平成31年度からこの猶予が廃止になる見込みです。
これにより中小企業も時間外労働について月60時間を超える場合は、50%増の割増賃金をはらわなければいけなくなります。
飲食、運輸、宿泊、IT業界など残業の多い業界を中心に対策が必要となっています。
経営者としては「時間を短縮しても売り上げが下がらなければいい」というのが本音ではないでしょうか?
この対策について、厚生労働省の「働き方・休み方改善ハンドブック」によると
- 休日を確実に休む
- 有給休暇を取得する
- 労働時間を把握する
- 「ムダ」の削減
- 業務改善
- 応援体制の整備
- 経営改革
の7つが必要だとしています。
ただ単に時間短縮だけに取り組んでも無理が生じ、サービスの質の低下や取組の形骸化がおこり、かえって従業員の負担が増えることにつながります。以下企業の様々な取り組みを上げておきます。参考にしてください。
取り組み事例
- 長時間労働の原因を把握し、改善策を立てている・・・実態を把握して、原因を分析することにより、効果的な改善策を立てることができる。
- ノー残業デーを設けている・・・形骸化しないよう工夫も必要
- 帰りやすい・休みやすい雰囲気をつくっている・・・まずは上司が率先することで、職場の空気が変わる。
- 時間に区切りを付けている(チャイムを鳴らす、夕礼の実施など)・・・所定勤務時間の終了を意識することが大切。
- 管理職を対象に労務管理に関するセミナーを行っている・・・マネージャの労務管理能力を高めることが重要。
- 長時間労働を抑制するために、職場を巡回している・・・直接声をかけることで、大きな効果が見られる。
- 長時間労働を行った者に対して、部門長や人事部などが面談を行っている・・・面談により、問題点が明らかとなったり、効果的な対策を取ることができる。
- 部門長が、メンバーの業務内容やプロジェクトの進捗状況を把握している・・・仕事を独りだけで抱え込ませないようにする。
- 時間外労働、年次有給休暇取得などを「見える化」している・・・「見える」ことで、自分も周りも意識が変わる。
- 時間外労働、休日出勤などを申請制にし、部門長の承諾が必要としている・・・本当に必要な場合にしか時間外労働をしない、させない、という意識が大切。
- 本人や部門長に、メールや文書で長時間労働の注意喚起(アラート)をしている・・・「気付かないうちに長時間労働・・・」ということを防ぐ。
- 時間外労働削減のためのインセンティブ(動機づけ)を設けている・・・意識を高める効果が大きい。
- 年次有給休暇を計画的に取得する仕組みがある・・・会社や部門を休業にしたり、個人が計画を立てたり、実態に応じた方法が高い効果を上げている。
- 1週間程度の休みが取得できる連続休暇制度やリフレッシュ休暇制度などがある・・・制度を設けるだけでなく、取得を促すことにより、定着する。
- 記念日休暇、配偶者出産休暇など、従業員が利用しやすい制度がある・・・思い出と共に・・・大切な休日になる。
- 半日休暇・時間単位休暇を導入している・・・利用率が高く、効果も大きい制度。
- 病気などの場合に、年次有給休暇が追加される(バックアップ休暇)制度がある・・・年次有給休暇の完全取得が促進される。
- 短時間勤務ができる・・・柔軟な働き方は、女性の活躍を推進。
- 在宅勤務型テレワークを導入している・・・仕事に集中でき、通勤時間分の時間が有効に使用できるため、生産性も向上。
- 産業医や保健師との相談制度がある・・・社内の意識も変わる。
- 裁量労働制を導入している・・・仕事に責任を持つことが、業務の効率化につながる。
- 長時間労働の抑制や年次有給休暇取得促進について、経営会議で取り上げている・・・経営トップのリーダーシップが期待される。
- 時間外労働について、全社で目標時間を設定している・・・目標を設定することが、意識を変える第一歩
- 長時間労働の抑制や年次有給休暇取得促進について、労使で話し合いの場を設けている・・・労使で話し合うことで、共通認識に立った取組ができる。
- 部門間やチーム内で仕事の分かち合い、平準化をしている・・・特定の人や、部門に大きな負担がかからないようにする。
- イベントやキャンペーンを実施するなど、年次有給休暇取得の工夫をしている・・・年次有給休暇取得への関心が高まる。
- 生産性や品質の向上、業務の効率化に努めている・・・業務効率を上げることは労働時間短縮に直結。
- 人材育成に力を入れている・・・スキルアップは従業員のやる気を育て、生産性も高める。
- 長時間労働の抑制や年次有給休暇取得について顧客の理解を得るよう働きかけている・・・顧客の理解を得ることで、取組を進めやすくなる。
- 労働時間管理がしやすいビジネスモデルに変化させている・・・主体的な労働時間管理が可能になり、取組が大きく前進。