ski経営サポートオフィスの社労士コラム
業務上災害と通勤災害の違いは
2012.01.25
「業務上の災害」になるか「通勤災害」になるかの判断ですが、業務の性質を有するものは、通勤とはならずに業務上として扱われます。通勤災害ではなく業務上災害と扱われるものには、次のようなものがあります。
- 事業主がバスなどの専用の交通機関を用意して労働者の通勤に使用している場合
- 休日等に、特別に会社からの特別命令で呼び出されて出社する途上
- 出張のための出発、帰着の移動
- 赴任の日時・方法が特定され、赴任の旅費が支給される場合の赴任途上
原則として、「業務災害」と「通勤災害」では給付の内容は同じです。提出する請求書の様式や給付の呼び方が異なります。「業務災害」の場合は名称に「補償」という文言が入ります。
例 業務災害 「療養補償給付」
通勤災害 「療養給付」
療養補償
- 業務上災害の場合、労災保険に加入していないと、事業主は、労働基準法により、必要な療養の費用を負担しなければなりません。事業主の故意過失は関係なく、また被災した労働者が退職しても費用負担を続けなければなりません。療養補償は毎月1回以上行うこととされています。
- 業務上災害の場合、業務上のケガや病気のため休業する期間とその後の30日間は原則として、解雇をすることができません。
- 3年を経過してもケガや病気が治らない場合は、平均賃金の1200日分の打切補償を支払う場合、この解雇の制限は解除されます。また災害の補償についても免れることができます。
- 療養開始後3年を経過した日において、労災保険の傷病補償年金を受けている場合や受けることになった場合には、打切補償が支払われたものとみなされます。
- 通勤災害の場合はこのような災害補償や解雇制限はありません。
休業補償
業務上災害の場合事業主は労働基準法により、平均賃金の60%以上の休業補償を行わなければなりません。業務上災害の療養のため休業を開始し場合、4日目から労災保険の「休業補償給付」と「休業特別支給金」が支給されます。ですから、実質最初の3日間について、事業主が休業補償を行うことになります。
通勤災害の場合は、このような休業補償の義務はありませんので、待機期間の3日間に休業補償をする必要はありません。