ski経営サポートオフィスの社労士コラム

こんな就業規則は危ない!

2012.02.13

い就業規則を雛形を使って作成している場合をよく見かけますが、雛形の就業規則にはこんな落とし穴があります。

1.休日に所定休日と法定休日の区別が無い。

最近は週休2日制を採用している事業所も多くなっていますが、休日には2種類あるのをご存じでしょうか?

労働基準法では、休日は、「1週間に1日以上与えなければならない」となっています。この1週間に1日の休みを「法定休日」といいます。これに対して、それ以外の休日を「所定休日」といいます。35%の割増賃金を支払わなくてはいけないのは、「法定休日」に労働させた場合だけです。ですが、多くの雛形就業規則で、「法定休日」「所定休日」の区別なく、2日とも35%の割増賃金を支払う規定になっています。

 

2.割増賃金に法定と所定の区別が無い。

終業時間は、9時から5時までという会社が多くあります。この場合は、お昼休みを1時間取り、1日の労働時間は7時間となる場合が多いと思います。労働基準法では、1日8時間以上労働させた場合に25%の割増賃金を支払わなければいけません。1日の就業時間が7時間の会社の場合、最初の1時間は25%の割増賃金を支払う必要はありません。通常の時間単価を支払えば良いことになります。ですが、雛形就業規則の場合残業は、全部一律25%の割増賃金を支払うようになっているものが多くあります。

3.店長を管理職として残業代の支給を除外していた。

「名ばかり管理職」という言葉が定着していますが、労働基準法のいう「管理職」の範囲は極めて狭く、人事制度上の管理職=労働基準法上の管理職ということでは、必ずしもありません。管理職には当てはまらないと判断された場合でも、役職手当などを固定残業代と定義することで、その分の残業代を免責できるようにしておく方が安心です。

4.有給休暇の消化のルールが明確でない。

有給休暇は、2年を経過すると時効により消滅します。繰り越せるのは前年分だけです。それでは、全年分と今年分では、どちらを先に消化することになるのでしょうか? 何も規定がなければ、古い方から消化していきます。もし全年分の有給分しか消化しなければ、今年分は、まるまる来年に持越しになります。有給は新しいものから消化するように規定しましょう。退職時に一気に有給を取得されるリスクを減らすことができます。また、直前で取得されることがないよう、書面でいつまでに取得するか明確にしておきましょう。

5.休職の事由や期間が明確でない。

休職の事由や期間が定まっていないと、どんな場合に休職になるのか、いつ休職が終わるのか分かりません。休職の期間が満了した場合は、解雇ではなく、自然退職とし、解雇に関するリスクをなるべく減らしましょう。

6.給与が毎年昇給するようになっている。

業績が、常に右肩上がりにいくとは限りません。会社全体の業績が悪ければ従業員の給与も考えないといけませんが、雛形就業規則の場合、「昇給は毎年〇月〇日に行う。」となっているものが多くあります。これでは毎年、昇給をしなければいけません。会社の業績に応じて、臨機応変に対応するためには「昇給」でなく、「賃金の改定」として賃金を、業績に応じて昇給させなくても良いようにしておく必要があります。

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