ski経営サポートオフィスの社労士コラム

残業代を減らす③

2012.05.05

変形労働時間制度を活用する

1カ月単位の変形労働時間制

例えば、1カ月のうち月初は比較的暇で、月末に業務が集中するなど、1カ月の内で忙しさが違う会社や職場では、1カ月単位の変形労働時間制を採用することで、残業代を抑制することができます。

このような場合月初は休日を多くして1日の労働時間を短く、月末は休日を少なく1日の労働時間も長く設定して時間外労働の時間を短縮します。

変形労期間の法定労働時間の総枠は、暦日数で算出しますので、月初でを短くした分の労働時間を月末の労働時間を長く設定できます。

  • 変形期間の法定労働時間の総枠=40時間×変形期間の暦日数÷7日
暦日数ごとの法定労働時間の総枠
変形期間の暦日数 法定労働時間の総枠
31日 177時間8分
30日 171時間25分
28日

160時間

  • 月末が忙しく、月初が比較的暇である場合、それに合わせた労働日や労働時間を設定し、1週間当たりの平均労働時間を40時間以下に抑えた例
1カ月変形労働時間制の導入例 31日の場合
週数 1週の労働時間 労働日 1日の労働時間
1週目 35時間 日-土 5日間 1日7時間
2週目 35時間 日-土 5日間 1日7時間
3週目 35時間 日-土 5日間 1日7時間
4週目 50時間 日-土 5日間 1日10時間
5週目 20時間 日-火 2日間 1日10時間

合計175時間<177.8時間

1年単位の変形労働時間制

変形期間の法定労働時間の総枠は、暦日数で算出するため、休日数が多くなると、その分1日の労働時間を長くすることができます。

  • 変形期間の法定労働時間の総枠=40時間×変形期間の暦日数÷7日

ですので、1年単位の場合

40時間×365日÷7日≒2,085時間(小数点以下切り下げ)

通常の休みの他、祝日や年末年始、夏季休暇などがあり、上手く活用することで、効率よく労働時間を設定することができます。

1年単位の変形労働時間を採用した場合、対象期間を平均して1週あたり40時間を超えない範囲であれば、1日8時間を超えていても、割増残業代を支払わずに労働させることができます。

その場合の労働時間の上限は次の通りです。

例1: 休日の条件 週休2日 /日曜日、土曜日各52日/祝日12日/年末年始、夏季休暇各3日/合計122日の場合(対象期間1年)
年間労働日 365日-122日=243日
労働時間の総枠 40時間×365日÷7日≒2,085時間
1日の労働時間の上限 2,085時間÷243日≒ 8.58時間(8時間34分)

1日の上限8時間30分

例2:休日の条件 隔週週休2日/ 日曜日52日/土曜日26日/祝日12日/年末年始、夏季休暇各3日/合計96日の場合(対象期間1年)
年間労働日 365日-96日=269日
労働時間の総枠 40時間×365日÷7日≒2,085時間
1日の労働時間の上限 2,085時間÷269日≒7.75時間(7時間45分)

1日の上限7時間45分

  • 対象期間を1年とした場合繁忙期の労働時間の上限を例えば10時間、それほど忙しくない期間の労働時間の上限を7時間として1年で2,085時間以内におさまるようにすれば余分な残業代の支払いをカットすることができます。

ただし、1年単位の変形労働時間制には種々の制限があります。

  1. 1日10時間、1週52時間を超えてシフトを組むことができません。
  2. 対象期間が3か月を超える場合、48時間を超える週を連続させるのは3週以下
  3. 対象期間が3か月を超える場合、48時間を超える週は3か月ごとに各3回以下
  4. 対象期間が3か月を超える場合、1年あたり労働日数は280日以下
  5. 対象期間に連続して労働させることができるのは、連続6日、繁忙期は最大12日

これ以外にも注意点があります。変形労働時間制の導入は、事前に当事務所にご相談下さい。

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