ski経営サポートオフィスの社労士コラム
賃金制度の見直しのポイントは
環境変化に対応させる賃金制度
賃金制度の見直しの現状
労働政策研究・研修機構の2007年調査の統計によると
―過去3年間に賃金制度の見直しを行ったとする割合は6割弱。またその理由は、「従業員の就業意欲を高めるため」が最も高い。―
と多くの企業が従業員の就業意欲を高めるために賃金制度の見直しが有効だと考えていることが分かります。
ただし、賃金制度の見直しはうまくいったかどうかをきいたところ、「まだ評価が固まっていない」とする企業の割合が5 割強(54.7%)と見直しが成功したかどうかはまだ未確定のようです。
又、賃金制度の見直しが上手く行かなかった理由として、
―「公平で納得を得られる評価ができないため」を挙げる割合が6 割(60.0%)と最も高く、次いで「従業員の職務遂行上のプロセスが評価されなため」 (38.5%)などの順であった。―
となっています。
つまり賃金制度を新しくしただけでは上手くいかないということです。新しい賃金制度をどのように運用していくかもセットで構築する必要があります。
会社の方向性を明確にする
労力と時間とコストをかけて賃金制度を見直したのに、上手く機能しないのはなぜでしょうか?
賃金は社員にとって生活をしていく上での基盤となるものです。この基盤となる賃金が経るかも知れないということになれば、生活は不安定になりモチベーションも下がります。ただ単に成果主義の賃金制度に変更すればいいというのではなく、「現状の賃金制度の問題は何か」「なぜ改定しなければならないのか」「どのように改定するのか」と新しい制度の必要性を経営者と社員全員が共有して認識することが肝心です。
社員の意欲を向上させるためには
会社の考えを伝え、社員が意欲を向上させるためには以下のような注意が必要です。
- 会社の現状を把握させているか 人事制度の改革を行う場合、会社の経営上の問題が密接に絡んできます。一方的に制度を押し付けるのではなく、社員とルールを作っていくんだという経営意識を共有することが強い企業を作ることになります。
- 制度の内容を理解させているか 社員は簡単には制度を理解してくれません。できるだけ分かりやすく説明し、質問を受け付け、納得してもらってください。特に重要なのは、「評価と賃金」です。自分の賃金は上がるのか下がるのか、全員が理解するように説明しなければなりません。
- 挽回の機会を与えているか 新しい賃金制度を導入すると必ず結果的に賃金が下がる社員がでてきます。賃金の下がる社員には、経過期間をもうけ、段階的に引き下げるするようにするだけでなく、1~2年努力すれば賃金の低下を挽回できる機会を与え、上司も支援をする必要があります。
- 経営者は自信があるか 新しい制度を成功させるためには、経営者が全て納得し、自身をもって導入できるかがポイントです。経営者に迷いがあっては必ず社員に伝わります。経営環境の変化に対応した改定なら良いのですが、たびたび修正をするといったことがないよう、最終的に経営者が自信を持って導入するようにしてください。