ski経営サポートオフィスの社労士コラム
正規雇用労働者・非正規雇用労働者とは?①
助成金の中でも正規雇用労働者や非正規雇用労働者といった名称が使われているものが増えてきました。正規雇用労働者や非正規雇用労働者とはどのような人のことをいうのでしょうか?
企業には多くの従業員が働いており、社員、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員、など様々な呼び方の人がいます。どのような種類の従業員がいるのか整理してみましょう。
これらの呼び方は通称の場合が多く、必ずしもその内容が明確に労働基準法等の法律で定められているとは限りません。
まず、実態の面から従業員の種類を整理し、法的に定められている部分をとらえながら、従業員の種類を見ていきます。
呼称 | 労働時間 | 賃金形態 | 雇用期間 |
---|---|---|---|
正社員 | 就業規則の所定労働時間 | 月給制、年棒制 | 定めなし、定年まで |
パートタイマー | 正社員よりも短い時間 | 日給、時間給 | 6か月や1年間、更新あり |
アルバイト | 正社員よりも短い時間 | 日給、時間給 | 短期間、更新あり |
契約社員 | 正社員と同様 | 月給制、年棒制 | 6か月や1年間、更新あり |
嘱託社員 | 正社員と同様、正社員よりも短い場合もある | 月給制、年棒制 | 6か月や1年間、更新あり |
上の表は一般的な実態を整理したものです。事業所により異なる場合もあります。
正社員
正社員とは次のような内容で雇用契約を交わしている場合をいいます。
- 雇用期間の定めがない。
- 労働時間は、就業規則等に定められた所定労働時間である。
- 労働日数は、就業規則等に定められた所定労働日数である。
- 長期雇用を前提とした賃金体系等の労働条件で働いている。
正社員に関して法的な定義があるわけではありません。しかし、パートタイム労働法の第2条、パートタイム労働者の定義について、「通常の労働者」に関する行政解釈があります。その概要は、
「通常の労働者」とは、社会通念上にしたがい、「通常」と判断される労働者をいいます。この「通常」の判断は、正社員がいれば、その労働者をいい、例えば労働契約の期間の定めがない、長期雇用を前提とした待遇を受ける賃金体系である等、雇用形態、賃金体系などを総合的に判断されます。(平成5・12・1基発663、婦発272他)
雇用期間の定めがないとは、いつからいつまで働くというような雇用される期間が決められていないことをいい、通常は定年まで雇用されると考えられます。
所定労働時間は、就業規則や雇用契約で定められている時間をいいます。1日8時間と就業規則に定められている場合は、8時間、1日7時間と定められている場合は、7時間となります。それが正社員の労働時間となり、パートタイマーと区別する意味で、一般的にフルタイム勤務とも呼ばれます。
労働日数も同様の考え方です。
助成金でいうところの正規雇用の労働者
これまでは一般的な概念での正社員の説明をしてきましたが、助成金でいうところの正規雇用の労働者とは、次の①と②を満たすものと定義されています。
①期間の定めのない労働者としてとして雇用されていること
②雇用保険の被保険者でること
ただし非正規雇用労働者の正社員待遇の説明に以下の注意書きがあります。 「賃金の算定方法、支給形態、賞与、退職金、定期的な昇給または昇格などについて、その事業所の就業規則などに基づく長期雇用を前提とした待遇」 このことから助成金でいうところの正規雇用の労働者とは一般的な正社員の説明とほぼ同じと言えるようです。