ski経営サポートオフィスの社労士コラム

平成25年版厚生労働白書、「若者の意識を探る」を特集

2013.09.14

 平成25年版厚生労働白書が公表され、第1部で、「若者の意識を探る」を特集し、現在の若者の意識について、結婚、出産・子育て、仕事といったライフイベントに焦点を当てて分析してます。

 若者(厚生労働白書では15歳~34歳)の仕事へ意識についていくつか内容を抜粋しました。

依然として高い早期の離職率

 新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率をみると、高卒、大卒ともに、バブル崩壊後に上昇し、2004(平成16)年3月卒以降は低下傾向にあるが、2009年3月の高校卒で35.7%、大学卒で28.8%と、依然として高い水準にある。

インターネットからの情報を中心に行われる就職活動

 近年、インターネットは、国民生活にとって重要な情報源となっているが、就職活動にも大きな影響を与えている。

 新入社員が就職活動において利用した情報源の推移をみると、インターネットの企業ホームページや就職関連サイト、会社説明会や採用案内パンフレットを利用したとする者の割合は増加傾向にあり、その水準も8割~9割と高くなっている。一方、「学校への求人票」を利用したとする者の割合は、2011年度以降上昇しているものの、約6割にとどまっている。

 近年の就職活動は、一般に、インターネットを通じて企業へ登録(エントリー)することから始められており、学生は、インターネットから得られる情報や企業が発出する一次情報を基に就職先を決めている状況がうかがわれる。

 就職活動において、インターネットから情報を得ることは、幅広い情報を効率的に得られ、あらゆる企業への応募機会が均等に与えられるというメリットもある一方で、大企業への応募が集中することにより面接等に至らない学生が大量に発生するなどのデメリットが考えられる。

新入社員の働く目的は、経済的豊かさよりも、楽しい生活を重視

  新入社員の働く目的の推移をみると、2000(平成12)年以降、「楽しい生活をしたい」とする者の割合が大きく上昇して2012(平成24)年度には最も高い割合となり、逆に「経済的に豊かな生活を送りたい」とする者の割合は低下傾向にあり、働くことに関する最近の若者の意識は、経済的な側面よりも、自分自身が「楽しく」生活できるかどうかという点を重視していることが分かる。

 また、「自分の能力をためす生き方をしたい」とする者の割合は、調査を開始した 1970年代には最も高い割合を占めていたが、長期的に低下傾向を示す一方、「社会のために役立ちたい」とする若者の割合は、2000年以降上昇傾向にあり、仕事を通じ社会に貢献していきたいと考える若者の増加として注目される。

会社の選択では、能力・個性の発揮や仕事の面白さを求める傾向

 新入社員の会社の選択理由についての推移をみると、「会社の将来性を考えて」とする者の割合は、長期的に低下傾向を示す一方、「自分の能力・個性が生かせるから」とする者の割合は上昇傾向で推移し、2012年度には、最も高い割合を占めている。

 また、「仕事がおもしろいから」とする者の割合は、1990年代以降、上昇傾向で推移し、2012年度には2番目に高い割合を占めている。先にみた働く目的のうち「自分の能力をためす生き方をしたい」が低下傾向を示していることについては、仕事を通じ何かに挑戦するという考え方が過去に比べ低下しているということであれば、長期的な職業能力の形成が懸念される。しかしながら、これは、他の選択肢の増加に伴い相対的に低下しているものと考えられ、会社の選択理由としては、「自分の能力・個性が生かせるから」とする者の割合が最も高くなっており、若者は、仕事をしていく上で、能力形成をしていけるかどうかという点を重視しているものと考えられる。

長期雇用の下でのキャリア形成を志向

 (独)労働政策研究・研修機構「勤労生活に関する調査」結果(1999年、2011年)によると、望ましいキャリア形成に関する若者の意識は、1999(平成11)年から2011(平成23)年にかけ、20歳代において、「一企業キャリア」(一つの企業に長く勤めるキャリア形成)を望ましいとする者の割合が上昇する一方、「複数企業キャリア」(複数の企業を経験するキャリア形成)を望ましいとする者の割合は低下している。

 また、新入社員を対象としたアンケート調査においても、2008(平成20)年度以降、「同じ会社で働きたい」とする者の割合の方が、「自分に向かないと思えばすぐに転職したい」とする者の割合より高くなっている。

 このように、厳しい雇用情勢が続く中、一つの企業に長く勤めキャリアを形成していくことを望む若者が増加している。

チャレンジ精神を持つ人材への育成に期待

 若者の仕事に対する意識は、経済的豊かさよりも楽しい生活のために働くことを重視し、また、会社の選択では能力・個性の発揮を求め、長期雇用の下でのキャリア形成を志向する傾向にある。

 若者の採用ルートは新卒一括採用によるものが大層を占めていることから、今後とも、企業を数十年に渡って支える中核人材を育成するためには、企業が重要な役割を担っていることを再認識する必要がある。

 経済の長期低迷やグローバル化の中で競争力を維持するため、企業には新たな付加価値の創造が求められており、今後は、チャレンジ精神を持つ人材がますます必要とされていくと考えられる。また、今後、企業は、若手人材の配置・育成に際して、長期的に教育訓練を行うことを重視していきたいと考えている。このため、企業において、若手社員に対して長期的に計画的な教育訓練が実施され、その結果、チャレンジ精神を持ち将来の企業経営を担うことのできる人材を育成していくことが期待される。

無料相談のお申し込みはこちら