ski経営サポートオフィスの社労士コラム

勤務時間改ざんし社会保険の加入避ける 

2014.11.08

 外食大手コロワイド(横浜市)が運営する居酒屋チェーン「北海道」で、複数のアルバイト店員の勤務時間記録が改ざんされていたことが2日、分かった。

 同社は共同通信の取材に対し、東京都新宿区内の1店舗で改ざんがあったことを認め、アルバイトの勤務時間を見かけ上少なくし、社会保険への加入を避けるのが目的だったと説明している。月の勤務時間が百二十時間を超えると、別の店員のタイムカードに超過分の時間を記録。店員らは店長に要請され、現金をやりとりし正規の給与額になるよう数万円分を調整した。

(共同通信)

  コロワドは、「甘太郎」「北海道」「いろはにほへと」などの居酒屋、「ステーキ宮」「牛角」などをチェーン展開、店舗数は2000店を上回り、今年10月には、回転ずしの「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトホールディングスの買収を発表するなど、業績は申し分ないと思います。

 それでもこのような記事がでると業績にも多少なりとも影響がでるでしょうし、イメージも悪くなります。店長の判断でやったことで、この店舗だけだとしていますが、それを信じる人は少ないでしょう。

 社会保険料の負担は中小企業にとって頭の痛い問題です。 「社会保険料をまともに支払ったら、うちはつぶれる!」と思っている経営者の方も多いのではないでしょうか?

社会保険に加入しないといけない事業所

 常時1名以上の従業員を使用する法人であれば事業主や従業員の意志に関係なく、強制的に社会保険に加入しなければなりません。

 個人事業主の場合は、常時5名未満の従業員を使用する場合。農林水産業、サービス業、法務、宗教などの業種は5名以上でも強制とはならずに社会保険への加入は任意となります。

 最近は、サービス業などで、社会保険料削減のためにこの制度を利用して、法人から個人事業主へ転換する「個人成り」もでてきています。ただし、この手続きは少々複雑なので専門家にご相談ください。

 強制適用の事業所でも社会保険に加入しなくてもいい人

  次のどちらかの条件を満たす場合は社会保険への加入義務はありません。

  1. 1日または1週間の所定労働時間が、その事業所で同じ種類の業務に従事する一般の従業員の所定労働時間のおおむね3/4未満の人
  2. 一か月の所定労働日数が、その事業所で同じ種類の業務に従事する一般の従業員の所定労働日数のおおむね3/4未満の人

次の場合は社会保険の適用が除外されます。

  1. 日々雇い入れられる人(ただし、引き続き1ヵ月以上になった場合は加入)
  2. 2か月以内の期間を定めて使用される人(ただし、期間を超えて引き続き雇い入れられる場合は加入):ただの試用期間は該当しません。
  3. 季節的業務(4ヵ月以内、これを超える見込みの人は最初から)に使用される人:海の家など、通常の会社が季節的に忙しいなどは該当しません。
  4. 臨時的事業の事業所(6ヵ月以内、これを超える見込みの人は最初から):万博など、通常の会社が6か月以内の期間で雇い入れるなどは該当しません。

 たとえば、社員一人雇うところを仕事を半分に分けパート2人にやってもらうようにすれば(時間は社員の半分)合法的に社会保険料を抑えることができます。今回のケースは人を雇わずに一人の労働時間を長くしたことに問題があります。

 募集してもなかなか人が集まらなくなっている現状で、ブラック企業のレッテルを貼られるとますます人が集まらなくなります。

 採用の方法と社会保険料削減は今後ますます重要課題になっていくでしょう。

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