ski経営サポートオフィスの社労士コラム
厚生年金へ違法に加入していない事業所様へ
2016.01.30
加入逃れへの対応
厚生労働省が、厚生年金への加入逃れをしている事業所への立入り検査を強化し、悪質な事業主については刑事告発を検討する方針を発表しました。
去年の年末に、厚生年金に加入するべきなのに、国民年金に加入している人の数が約200万人いるとの発表をしていましたが、これを受けてのことです。
すでに加入逃れの疑いのある約79万の事業所に対して、調査を実施しており、加入逃れと判断すれば重点的に指導するとしてます。
国会での質問
国会でも長妻議員による質問が行われました。質問を要約すると、
- 200万は実態はどうで、どのように計算されたのか。国民年金の約12%と考えていいのか。その年代別の人数は。
- 200万人は厚生年金に違法に加入していない人の数か。
- 本来、厚生年金に加入しないといけない人が、国民年金の10人に1人いるということか。
- 今回の調査で何を把握できたのか。
- 本来、法的にみて国民年金や国保に加入すべきでない人がどのくらいいるのか。
- 国民年金、国保の差押え人数はどのくらいで、その内加入すべきでない人はどのくらいいるのか。
- 今後、差押えの前に、加入すべき人かどうか事前に調査するべきではないか。
- 本来、厚生年金に加入すべき人が差押えにあった場合、救済措置があるのか。
- 日本年金機構が、違法に加入していない事業所と疑いながら立入検査をしていない事業所数とその理由は。
- 厚生年金未加入の問題に、国は全力で取り組むべきだと考えるがどうか。
これら10ある質問の中で、特に9番の質問に関して詳しく見ていきます。
9番の回答
- 日本年金機構においては、事業主の理解を求めながら、可能な限り、自主的な加入手続きをするように指導している。
- 加入指導に応じず、届け出をしない事業主に対して、日本年金機構が、立入検査を行い、職権により適用することがあることを事前に通告(立入検査予告)する。立入検査予告により、自主的な加入に至った事業所は立入検査予告を行った事業所の約4割(平成26年度の実績)。
- 立入検査予告をして、自主加入しなかった事業所に2年以上立入検査をしなかった事業所はない(平成26年度)。
つまり、立入検査予告を受けて自主的に加入しなかった場合、遅くとも2年以内には立入検査に入るということになります。
- 厚生年金への加入を3回以上指導したにもかかわらず、加入しなかった事業所で、立入検査を実施しなかった事業所は、平成26年度、3,975事業所で、その理由は、自主的に届け出をする可能性があると判断したから。
200万人は国民年金加入者の職業の調査からはじいた推定の数ですが、マイナンバーの運用が本格化すると、もっと正確に把握されるようになることは必至です。事業主は、加入逃れとして指導される前に、厚生年金や健康保険といった社会保険への加入をしておくべきでしょう。