ski経営サポートオフィスの社労士コラム

【03:採用】記事一覧

平成25 年「賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果

2013.11.23

 厚生労働省は、このほど平成25年「賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果を公表しました。

 「賃金構造基本統計調査」は、全国の主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を、雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数および経験年数別などに、明らかにすることを目的として、毎年7月に実施しています。

 そのうち今回は、新規学卒者の平成25年初任給(6月分)についての集計結果で、対象は10人以上の常用労働者を雇用する民間の事業所のうち、新規学卒者を採用した14,321 事業所です。

【調査結果のポイント】

1 学歴別にみた初任給

大学卒、高校卒の初任給は男女とも前年を下回る。

大学卒高校卒
男女計 198,000 円(前年比 0.8%減) 男女計 156,000 円(同 1.2%減)
男性 200,200 円( 同 0.8%減) 男性 158,800 円(同 0.8%減)
女性 195,100 円( 同 0.7%減) 女性 151,300 円(同 1.5%減)

2 企業規模別にみた初任給

 大企業(常用労働者1,000 人以上)では、大学卒の女性および高校卒の男性で前年を上回り、中企業(同 100 ~999 人)、小企業(同10~99 人)では、大学卒および高校卒の男女で前年を下回る。

大企業中企業小企業
大学卒 男性 203,600 円(前年比 0.2%減) 199,100 円(同 0.5%減) 194,600 円(同 2.8%減)
女性 200,900 円( 同 0.7%増) 194,300 円(同 0.4%減) 185,100 円(同 3.8%減)
高校卒 男性 160,900 円( 同 0.7%増) 157,800 円(同 1.4%減) 158,100 円(同 1.4%減)
女性 157,400 円( 同 0.1%減) 151,100 円(同 1.9%減) 148,100 円(同 1.9%減)

3 産業別にみた初任給

 主要産業別の初任給を学歴別にみると、

 大学卒では、高い産業は、男女ともに情報通信業(男性212.2千円、女性210.8千円)、学術研究,専門・技術サービス業(男性208.0千円、女性205.2千円)となっている。

 一方、低い産業は、男性は医療,福祉(189.6千円)、運輸業,郵便業(190.8千円)、女性は運輸業,郵便業(183.6千円)、金融業,保険業(188.4千円)、宿泊業,飲食サービス業(188.4千円)となっている。

 高校卒では、高い産業は、男女ともに生活関連サービス業,娯楽業(男性178.5千円、女性161.0千円)、情報通信業(男性165.2千円、女性157.3千円)となっている。

 一方、低い産業は、男性は医療,福祉(145.9千円)、金融業,保険業(147.7千円)、女性は建設業(143.1千円)、金融業,保険業(146.3千円)となっている

4 初任給の分布

 大学卒の初任給は、男女とも20 万円台(200,000~209,900 円)が最も多く(男性36.9%/女性24.2%)、高校卒の場合は、男性では16 万円台(34.3%)、女性では14 万円台(24.3%)が最も多い。

 兵庫県の大学卒の初任給は、男女計204.9千円、格差(東京=100)99、男性204.5千円、格差97、女性205.5千円、格差101

  一方、高卒の初任給は、男女計159.8千円、格差97、男性162.6千円、格差98 、女性155.2円、格差95だった。

平成25年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の(概況)

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/13/index.html

平成25年版厚生労働白書、「若者の意識を探る」を特集

2013.09.14

 平成25年版厚生労働白書が公表され、第1部で、「若者の意識を探る」を特集し、現在の若者の意識について、結婚、出産・子育て、仕事といったライフイベントに焦点を当てて分析してます。

 若者(厚生労働白書では15歳~34歳)の仕事へ意識についていくつか内容を抜粋しました。

依然として高い早期の離職率

 新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率をみると、高卒、大卒ともに、バブル崩壊後に上昇し、2004(平成16)年3月卒以降は低下傾向にあるが、2009年3月の高校卒で35.7%、大学卒で28.8%と、依然として高い水準にある。

インターネットからの情報を中心に行われる就職活動

 近年、インターネットは、国民生活にとって重要な情報源となっているが、就職活動にも大きな影響を与えている。

 新入社員が就職活動において利用した情報源の推移をみると、インターネットの企業ホームページや就職関連サイト、会社説明会や採用案内パンフレットを利用したとする者の割合は増加傾向にあり、その水準も8割~9割と高くなっている。一方、「学校への求人票」を利用したとする者の割合は、2011年度以降上昇しているものの、約6割にとどまっている。

 近年の就職活動は、一般に、インターネットを通じて企業へ登録(エントリー)することから始められており、学生は、インターネットから得られる情報や企業が発出する一次情報を基に就職先を決めている状況がうかがわれる。

 就職活動において、インターネットから情報を得ることは、幅広い情報を効率的に得られ、あらゆる企業への応募機会が均等に与えられるというメリットもある一方で、大企業への応募が集中することにより面接等に至らない学生が大量に発生するなどのデメリットが考えられる。

新入社員の働く目的は、経済的豊かさよりも、楽しい生活を重視

  新入社員の働く目的の推移をみると、2000(平成12)年以降、「楽しい生活をしたい」とする者の割合が大きく上昇して2012(平成24)年度には最も高い割合となり、逆に「経済的に豊かな生活を送りたい」とする者の割合は低下傾向にあり、働くことに関する最近の若者の意識は、経済的な側面よりも、自分自身が「楽しく」生活できるかどうかという点を重視していることが分かる。

 また、「自分の能力をためす生き方をしたい」とする者の割合は、調査を開始した 1970年代には最も高い割合を占めていたが、長期的に低下傾向を示す一方、「社会のために役立ちたい」とする若者の割合は、2000年以降上昇傾向にあり、仕事を通じ社会に貢献していきたいと考える若者の増加として注目される。

会社の選択では、能力・個性の発揮や仕事の面白さを求める傾向

 新入社員の会社の選択理由についての推移をみると、「会社の将来性を考えて」とする者の割合は、長期的に低下傾向を示す一方、「自分の能力・個性が生かせるから」とする者の割合は上昇傾向で推移し、2012年度には、最も高い割合を占めている。

 また、「仕事がおもしろいから」とする者の割合は、1990年代以降、上昇傾向で推移し、2012年度には2番目に高い割合を占めている。先にみた働く目的のうち「自分の能力をためす生き方をしたい」が低下傾向を示していることについては、仕事を通じ何かに挑戦するという考え方が過去に比べ低下しているということであれば、長期的な職業能力の形成が懸念される。しかしながら、これは、他の選択肢の増加に伴い相対的に低下しているものと考えられ、会社の選択理由としては、「自分の能力・個性が生かせるから」とする者の割合が最も高くなっており、若者は、仕事をしていく上で、能力形成をしていけるかどうかという点を重視しているものと考えられる。

長期雇用の下でのキャリア形成を志向

 (独)労働政策研究・研修機構「勤労生活に関する調査」結果(1999年、2011年)によると、望ましいキャリア形成に関する若者の意識は、1999(平成11)年から2011(平成23)年にかけ、20歳代において、「一企業キャリア」(一つの企業に長く勤めるキャリア形成)を望ましいとする者の割合が上昇する一方、「複数企業キャリア」(複数の企業を経験するキャリア形成)を望ましいとする者の割合は低下している。

 また、新入社員を対象としたアンケート調査においても、2008(平成20)年度以降、「同じ会社で働きたい」とする者の割合の方が、「自分に向かないと思えばすぐに転職したい」とする者の割合より高くなっている。

 このように、厳しい雇用情勢が続く中、一つの企業に長く勤めキャリアを形成していくことを望む若者が増加している。

チャレンジ精神を持つ人材への育成に期待

 若者の仕事に対する意識は、経済的豊かさよりも楽しい生活のために働くことを重視し、また、会社の選択では能力・個性の発揮を求め、長期雇用の下でのキャリア形成を志向する傾向にある。

 若者の採用ルートは新卒一括採用によるものが大層を占めていることから、今後とも、企業を数十年に渡って支える中核人材を育成するためには、企業が重要な役割を担っていることを再認識する必要がある。

 経済の長期低迷やグローバル化の中で競争力を維持するため、企業には新たな付加価値の創造が求められており、今後は、チャレンジ精神を持つ人材がますます必要とされていくと考えられる。また、今後、企業は、若手人材の配置・育成に際して、長期的に教育訓練を行うことを重視していきたいと考えている。このため、企業において、若手社員に対して長期的に計画的な教育訓練が実施され、その結果、チャレンジ精神を持ち将来の企業経営を担うことのできる人材を育成していくことが期待される。

試用期間の決め方

2013.08.03

試用期間の意味

労働基準法の適用を受ける従業員において、試用期間について規制する法律の規定はありません。ですから、従業員を採用する際に試用期間を設定するかどうかは、当事者間で自由に決定することができます。

従業員の採用は、基本的に期間の定めのない契約で、長期雇用を前提としています。しかし採用に際して事前に従業員として適格かどうかを見極めることは難しいので、試用期間で適格性を判断して、本採用するか、不適格な場合には解雇できる制度を設けて運用しています。

ただし、試用期間もあくまで労働契約の一つですので、就業規則、労働協約などで、その間の労働条件について明確にしておく必要があります。

試用期間中の契約

試用期間中の契約は、雇い入れから通常の期間の定めのない労働契約とし、試用期間中は従業員が不適格なため解約する権利が大幅に留保されているという「解約権付留保契約」という考え方が、判例や学説で支持されているようです。通常従業員を解雇する場合、それ相応の合理的理由が求められますが、試用期間中は、その理由が従業員の適格性という通常の解雇より広い範囲で、合理的で社会通念上妥当性があれば、解雇が認められるとされています。

試用期間の長さ

試用期間の長さは3カ月が一般的で、1カ月から6カ月間程度で定められています。試用期間の長さは法律上規制されている訳ではありません。

ただしあまり長い期間だと従業員の身分を不安定なままにするとして、公序良俗に反していると無効になると考えられます。

試用期間を延長することもできますが、あくまで例外的措置で、延長する場合の理由を就業規則等に定めておくことが必要です。

本採用拒否の事例

  1. 注意しても無断欠勤や遅刻早退が多く、出勤率が悪いなど継続雇用に不適格と認められるような場合。
  2. 上司の指示したとおりの仕事ができず、指導教育しても他の従業員の試用期間の能力のレベルに到達できず、向上心が認められないような場合。
  3. 勤務態度が悪く、職場の規律を守らず同僚に対する協調性が全くなく、言動等で周りの者に不快感を与えるような場合。
  4. 採用条件および従事する予定の職務に重大な影響を及ぼす経歴の詐称が分かった場合。

ただし、これらの理由に一部該当するとして本採用せず解雇し、解雇権の濫用と判断されルケースもあるので十分注意する必要があります。

試用期間中の者でも14日を超えて引き続き雇用している場合は、30日前の予告か30日分の平均賃金を支払わなければなりません。

ですから本採用しない場合にはこれらの手続をする必要があります。

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