ski経営サポートオフィスの社労士コラム
【04:労働災害が発生したら】記事一覧
- 2012.02.01
- 業務上・通勤中のケガ等で死亡した場合は
- 2012.01.31
- 業務上・通勤中のケガで障害が残ったときは
- 2012.01.27
- 交通事故など他人によるケガだった場合は
業務上・通勤中のケガ等で死亡した場合は
2012.02.01
遺族(補償)給付
- 従業員が業務上・通勤中のケガや病気で死亡した場合、死亡時に、従業員の給与で生計を維持していた遺族に年金が支給されます。
- 支給を受けることができる家族の範囲は、下の表の遺族です。一番順位の高い人が、受給資格者になります。
- 受給権者と、受給権者と生計を同じくする受給資格者の人数によって、給付日数が違います。
- 受給権者が、再婚や死亡などで受給権を失うと、次の順位の受給資格者が受給権者となります。
- 同一の事由で、遺族(補償)給付と遺族厚生年金や国民年金の遺族基礎年金が同時に受けられるときは、労災保険からの支給が減額調整されます。
- 受給権者が複数いる場合は、それぞれ人数で等分した給付額を受け取ります。
- 従業員の死亡の翌日から5年以内に、請求書を労働基準監督署に堤出しなければなりません。
遺族(補償)年金受給資格者、受給権者の順位
順位 | 受給資格者 | 受給資格者になれる条件 |
---|---|---|
1 | 妻 | なし |
1 | 夫 | 60歳以上または障害等級5級以上であること |
2 | 子 | 18歳に達する日以降最初の3月31日までか、または障害等級5級以上であること |
3 | 父母 | 60歳以上または障害等級5級以上であること |
4 | 孫 | 18歳に達する日以降最初の3月31日までか、または障害等級5級以上であること |
5 | 祖父母 | 60歳以上または障害等級5級以上であること |
6 | 兄弟姉妹 | 18歳に達する日以降最初の3月31日までか、または障害等級5級以上であること |
7 | 夫 | 55歳以上60歳未満であること、ただし60歳までは支給停止 |
8 | 父母 | 55歳以上60歳未満であること、ただし60歳までは支給停止 |
9 | 祖父母 | 55歳以上60歳未満であること、ただし60歳までは支給停止 |
10 | 兄弟姉妹 | 55歳以上60歳未満であること、ただし60歳までは支給停止 |
遺族(補償)年金の額
遺族数 | 遺族(補償)年金 |
遺族特別支給金(1回のみ) | 遺族特別年金 |
---|---|---|---|
1人 | 給付基礎日額153日分 | 300万円 | 算定基礎日額153日分 |
1人 | 55歳以上または障害等級5級以上の妻は給付基礎日額の175日分 | 300万円 | 55歳以上または障害等級5級以上の妻は算定基礎日額の175日分 |
2人 | 給付基礎日額201日分 | 300万円 | 算定基礎日額201日分 |
3人 | 給付基礎日額223日分 | 300万円 | 算定基礎日額223日分 |
4人以上 | 給付基礎日額245日分 | 300万円 | 算定基礎日額245日分 |
遺族(補償)一時金
- 従業員の死亡の時、遺族(補償)給付を受けることができる遺族がいない場合や、遺族(補償)年金の受給権者全員が失権し、今までに支払われた年金の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たないとき、遺族(補償)一時金が支給されます。
- 受給権者の順位は①配偶者、②従業員の死亡時生計を維持されていた子・父母・孫・祖父母③その他の子・父母・孫・祖父母④兄弟姉妹
遺族(補償)一時金の額
遺族(補償)一時金 |
遺族特別支給金(一回のみ) | 遺族特別一時金 | |
---|---|---|---|
死亡時に遺族(補償)年金の受給権者がいないとき | 給付基礎日額の1,000日分 | 300万円 | 算定基礎日額の1,000日分 |
遺族(補償)年金の受給権者が全員失権し、支給された合計額が給付基礎日額1,000日分に満たないとき | 給付基礎日額の1,000日分との差額分 | - | 算定基礎日額の1,000日分との差額分 |
葬祭料
- 従業員が業務上または通勤中のケガや病気で死亡した場合、葬儀を行う人に葬祭料が支給されます。
- 通常は葬儀を行う遺族に支給されます。
- 遺族がいない場合は、葬儀を行った人に支給されます。会社が行った場合は、会社が請求します。
- 遺族(補償)給付を請求する場合は、重複する書類を省略できます。
- 葬祭料には特別支給金はありません。
- 労災保険から葬祭料の支給を受けた場合は、健康保険から埋葬料を受けることができません。
支給額
- 31万5,000円+給付基礎日額の30日分
- この額が給付日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額60分となります。
業務上・通勤中のケガで障害が残ったときは
2012.01.31
障害(補償)給付
- 従業員が業務上・通勤中にケガをし、そのケガが治った時に、「障害等級表」に該当する障害が残ってしまった場合、その障害等級に応じて年金または一時金が支給されます。
- この場合のケガが治ったときとは、完全に回復したときでなく,もうこれ以上治療を続けても回復の見込みがなく、現在の状態が固定してしまった場合を言います。
障害(補償)年金
- 障害等級が1級から7級に該当する場合、障害等級に応じ給付基礎日額の313日から131日分の年金が支給されます。
- 障害(補償)年金を受けることができる場合、年金の前払いを1回のみ請求することが出来ます。
- 障害(補償)年金を受けることができる人が死亡した場合、今までに支給した年金の額が障害等級に応じた一定額に満たないときは、遺族に差額が支給されます。
- 同一の事由により厚生年金の障害厚生年金、国民年金の障害基礎年金も受けることができる場合は、労災からの障害(補償)年金が減額されます。傷病(補償)年金、休業(補償)給付を受けている場合も同様に減額されます。
障害(補償)一時金
- 障害等級が8級から14級に該当する場合、障害等級に応じ給付基礎日額の503から56日分の一時金が支給されます。
- 一時金は該当することになった一度きりの支給です。
障害特別支給金
- 障害(補償)給付を受けることができる場合は、同時に障害特別支給金を受けることができます。
- 支給額は障害等級に応じ342万円から8万円で、全て一時金です。
- 障害特別給付金は障害(補償)給付と同時におこなわなければなりません。
交通事故など他人によるケガだった場合は
2012.01.27
第三者行為災害
- 業務上または通勤中の従業員のケガが、交通事故など相手がいる場合、報告が必要です。交通事故のように従業員に対して、第三者に損害賠償の義務がある災害を「第三者行為災害」と言います。
- 業務上や通勤中にケガをした場合、労災保険から給付を受けられますが、第三者行為災害である場合、その従業員は第三者にも損害賠償を請求する権利があります。加害者から損害賠償を受けた場合、損害賠償の請求権の価額を限度として、労災保険からの給付は調整されます。ただし特別支給金など、支給の調整を受けないものもあります。
- 労災保険の給付が、加害者の損害賠償より先に行われた場合、後日、加害者に請求がおこなわれることがあります。
自賠責保険との調整
通常、交通事故による損害賠償は、自賠責保険により行われるため、労災保険との調整もこの自賠責保険の給付で行われることが多くなっています。
自賠責保険には慰謝料の支給がありますが、労災保険にはありません。休業補償も自賠責保険は給与の1日分全額ですが、労災保険は8割しか支給がありません。
こような理由から自賠責から支給を受けることが多いのですが、逆に不利な場合もあります。
事故に対して、自分の方の過失割合がかなり多い場合や相手と過失についてもめている場合などは、自賠責でなく労災保険を選択した方がいいでしょう。
自賠責保険の給付が先に行われ、労災保険の給付を調整するという方法で行われますが、希望する場合は、労災保険を先に受けることができます。
示談をする場合
第三者行為災害による事故の損害賠償が、示談によって法律に基づいた手順で成立し、被害者が示談によって決まった金額以外の全ての請求を放棄した場合は、労災保険の支給が行われないことになっています。労災保険が支給されないような不利な内容にならないように、示談をする前に、社労士に相談してください。