ski経営サポートオフィスの社労士コラム
【07:人件費を削減したい】記事一覧
- 2015.11.14
- 社会保険料の削減方法の方法の1つが封印
- 2015.02.14
- 中小企業も平成31年度から残業割増50%へ
- 2014.11.08
- 勤務時間改ざんし社会保険の加入避ける
社会保険料の削減方法の方法の1つが封印
社会会保険料削減の方法の1つに対し厚生労働省が通達
健康保険や厚生年金といった社会保険での賞与について、年3回までの支給は賞与、年4回以上は報酬に含めることになっています。
具体的には、毎年7月1日の時点でそれまでの1年間に支払った賞与が4回以上の場合は、賞与ではなく報酬扱いとなり、1年間の賞与の総額を12で割って1か月分の金額を計算します。
今回通達により扱いが改められた削減方法
一方、賞与を分割で手当てとして支給し、社会保険料を削減するという方法があります。
例えば、年間の賞与額が60万円だとした場合、6月と12月にそれぞれ手当として25万円支給し、それ以外を毎月1万円ずつ手当として6月と12月以外の月に支給します。
手当の額が上がった6月からの3か月の給与を9月に月額変更した後、下がった7月からの3か月の給与を10月に月額変更。
又手当が上がる12月からの3か月の給与を3月に月額変更し、下がった1月からの3か月の給与を4月に月額変更。
こうすることでトータルで社会保険料を減らすという手法です。
この手法に対して、厚生労働省が以下のような通達を出しました。
「通常の報酬」には、一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合その他 これに準ずる場合は含まれないこと。
これにより、10月からは、このような手当で賞与を支払ったとしても、年間賞与を4回以上支給する場合と同様の扱いとなります。
上記の例の場合、60万円を12で割った金額の5万円が月々の給与に上乗せされて社会保険料が決定されることになります。
私の周りにはこのような手法で社会保険料を削減している会社はありませんが、コンサルなどの指南により、賞与を手当として月々の給与で支払っている場合、年金機構から指摘を受ける可能性があります。
中小企業も平成31年度から残業割増50%へ
中小企業も残業代が50%割増に
中小企業では、月60時間を超える時間外労働について割増率50%の適用を猶予されていましたが、平成31年度からこの猶予が廃止になる見込みです。
これにより中小企業も時間外労働について月60時間を超える場合は、50%増の割増賃金をはらわなければいけなくなります。
飲食、運輸、宿泊、IT業界など残業の多い業界を中心に対策が必要となっています。
経営者としては「時間を短縮しても売り上げが下がらなければいい」というのが本音ではないでしょうか?
この対策について、厚生労働省の「働き方・休み方改善ハンドブック」によると
- 休日を確実に休む
- 有給休暇を取得する
- 労働時間を把握する
- 「ムダ」の削減
- 業務改善
- 応援体制の整備
- 経営改革
の7つが必要だとしています。
ただ単に時間短縮だけに取り組んでも無理が生じ、サービスの質の低下や取組の形骸化がおこり、かえって従業員の負担が増えることにつながります。以下企業の様々な取り組みを上げておきます。参考にしてください。
取り組み事例
- 長時間労働の原因を把握し、改善策を立てている・・・実態を把握して、原因を分析することにより、効果的な改善策を立てることができる。
- ノー残業デーを設けている・・・形骸化しないよう工夫も必要
- 帰りやすい・休みやすい雰囲気をつくっている・・・まずは上司が率先することで、職場の空気が変わる。
- 時間に区切りを付けている(チャイムを鳴らす、夕礼の実施など)・・・所定勤務時間の終了を意識することが大切。
- 管理職を対象に労務管理に関するセミナーを行っている・・・マネージャの労務管理能力を高めることが重要。
- 長時間労働を抑制するために、職場を巡回している・・・直接声をかけることで、大きな効果が見られる。
- 長時間労働を行った者に対して、部門長や人事部などが面談を行っている・・・面談により、問題点が明らかとなったり、効果的な対策を取ることができる。
- 部門長が、メンバーの業務内容やプロジェクトの進捗状況を把握している・・・仕事を独りだけで抱え込ませないようにする。
- 時間外労働、年次有給休暇取得などを「見える化」している・・・「見える」ことで、自分も周りも意識が変わる。
- 時間外労働、休日出勤などを申請制にし、部門長の承諾が必要としている・・・本当に必要な場合にしか時間外労働をしない、させない、という意識が大切。
- 本人や部門長に、メールや文書で長時間労働の注意喚起(アラート)をしている・・・「気付かないうちに長時間労働・・・」ということを防ぐ。
- 時間外労働削減のためのインセンティブ(動機づけ)を設けている・・・意識を高める効果が大きい。
- 年次有給休暇を計画的に取得する仕組みがある・・・会社や部門を休業にしたり、個人が計画を立てたり、実態に応じた方法が高い効果を上げている。
- 1週間程度の休みが取得できる連続休暇制度やリフレッシュ休暇制度などがある・・・制度を設けるだけでなく、取得を促すことにより、定着する。
- 記念日休暇、配偶者出産休暇など、従業員が利用しやすい制度がある・・・思い出と共に・・・大切な休日になる。
- 半日休暇・時間単位休暇を導入している・・・利用率が高く、効果も大きい制度。
- 病気などの場合に、年次有給休暇が追加される(バックアップ休暇)制度がある・・・年次有給休暇の完全取得が促進される。
- 短時間勤務ができる・・・柔軟な働き方は、女性の活躍を推進。
- 在宅勤務型テレワークを導入している・・・仕事に集中でき、通勤時間分の時間が有効に使用できるため、生産性も向上。
- 産業医や保健師との相談制度がある・・・社内の意識も変わる。
- 裁量労働制を導入している・・・仕事に責任を持つことが、業務の効率化につながる。
- 長時間労働の抑制や年次有給休暇取得促進について、経営会議で取り上げている・・・経営トップのリーダーシップが期待される。
- 時間外労働について、全社で目標時間を設定している・・・目標を設定することが、意識を変える第一歩
- 長時間労働の抑制や年次有給休暇取得促進について、労使で話し合いの場を設けている・・・労使で話し合うことで、共通認識に立った取組ができる。
- 部門間やチーム内で仕事の分かち合い、平準化をしている・・・特定の人や、部門に大きな負担がかからないようにする。
- イベントやキャンペーンを実施するなど、年次有給休暇取得の工夫をしている・・・年次有給休暇取得への関心が高まる。
- 生産性や品質の向上、業務の効率化に努めている・・・業務効率を上げることは労働時間短縮に直結。
- 人材育成に力を入れている・・・スキルアップは従業員のやる気を育て、生産性も高める。
- 長時間労働の抑制や年次有給休暇取得について顧客の理解を得るよう働きかけている・・・顧客の理解を得ることで、取組を進めやすくなる。
- 労働時間管理がしやすいビジネスモデルに変化させている・・・主体的な労働時間管理が可能になり、取組が大きく前進。
勤務時間改ざんし社会保険の加入避ける
外食大手コロワイド(横浜市)が運営する居酒屋チェーン「北海道」で、複数のアルバイト店員の勤務時間記録が改ざんされていたことが2日、分かった。
同社は共同通信の取材に対し、東京都新宿区内の1店舗で改ざんがあったことを認め、アルバイトの勤務時間を見かけ上少なくし、社会保険への加入を避けるのが目的だったと説明している。月の勤務時間が百二十時間を超えると、別の店員のタイムカードに超過分の時間を記録。店員らは店長に要請され、現金をやりとりし正規の給与額になるよう数万円分を調整した。
(共同通信)
コロワドは、「甘太郎」「北海道」「いろはにほへと」などの居酒屋、「ステーキ宮」「牛角」などをチェーン展開、店舗数は2000店を上回り、今年10月には、回転ずしの「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトホールディングスの買収を発表するなど、業績は申し分ないと思います。
それでもこのような記事がでると業績にも多少なりとも影響がでるでしょうし、イメージも悪くなります。店長の判断でやったことで、この店舗だけだとしていますが、それを信じる人は少ないでしょう。
社会保険料の負担は中小企業にとって頭の痛い問題です。 「社会保険料をまともに支払ったら、うちはつぶれる!」と思っている経営者の方も多いのではないでしょうか?
社会保険に加入しないといけない事業所
常時1名以上の従業員を使用する法人であれば事業主や従業員の意志に関係なく、強制的に社会保険に加入しなければなりません。
個人事業主の場合は、常時5名未満の従業員を使用する場合。農林水産業、サービス業、法務、宗教などの業種は5名以上でも強制とはならずに社会保険への加入は任意となります。
最近は、サービス業などで、社会保険料削減のためにこの制度を利用して、法人から個人事業主へ転換する「個人成り」もでてきています。ただし、この手続きは少々複雑なので専門家にご相談ください。
強制適用の事業所でも社会保険に加入しなくてもいい人
次のどちらかの条件を満たす場合は社会保険への加入義務はありません。
- 1日または1週間の所定労働時間が、その事業所で同じ種類の業務に従事する一般の従業員の所定労働時間のおおむね3/4未満の人
- 一か月の所定労働日数が、その事業所で同じ種類の業務に従事する一般の従業員の所定労働日数のおおむね3/4未満の人
次の場合は社会保険の適用が除外されます。
- 日々雇い入れられる人(ただし、引き続き1ヵ月以上になった場合は加入)
- 2か月以内の期間を定めて使用される人(ただし、期間を超えて引き続き雇い入れられる場合は加入):ただの試用期間は該当しません。
- 季節的業務(4ヵ月以内、これを超える見込みの人は最初から)に使用される人:海の家など、通常の会社が季節的に忙しいなどは該当しません。
- 臨時的事業の事業所(6ヵ月以内、これを超える見込みの人は最初から):万博など、通常の会社が6か月以内の期間で雇い入れるなどは該当しません。
たとえば、社員一人雇うところを仕事を半分に分けパート2人にやってもらうようにすれば(時間は社員の半分)合法的に社会保険料を抑えることができます。今回のケースは人を雇わずに一人の労働時間を長くしたことに問題があります。
募集してもなかなか人が集まらなくなっている現状で、ブラック企業のレッテルを貼られるとますます人が集まらなくなります。
採用の方法と社会保険料削減は今後ますます重要課題になっていくでしょう。