ski経営サポートオフィスの社労士コラム

【08:解雇】記事一覧

「休職者」の解雇は

2012.03.09

業務上負傷または疾病に関連する解雇制限

労働者が、業務上負傷したり病気で休業する期間とその後の30日間は解雇できません。ただし、会社が、労働基準法81条の規定によって「打切補償」を支払う場合は解雇が可能となります。

打切補償

労災の場合、会社は傷病が治癒するまで、労働者に対して災害補償をする必要がありますが、療養開始後3年経っても負傷や疾病が治らない場合、平均賃金の1200日分の打切補償を行った場合、その後は補償を行わなくてもよくなります。

  • 3年経った時点で傷病補償年金を受けている場合、または受けることになった場合は、打切補償を支払ったものと同様と見なされます。
  • 「療養開始後3年間」は、次のとおり計算します。
  1. 通常は、療養を始めた日から継続して
  2. 療養を一時中断しその後再療養を受ける場合は、最初に療養を始めた日から療養を受けた期間のみ通算する。ただし、自分の意思で中断をした場合は、その中断期間も含めるとされています。
  • 一旦打切り補償を行えば、その後の療養、休業補償だけでなく、障害が残った場合の障害補償や死亡した場合の遺族補償、葬祭料を支払う必要もなくなります。
  • 打切り補償は労働者側から請求することはできません。

解雇制限にならないもの

1.通勤災害

解雇制限は業務上の災害が対象で、通勤災害の場合は、解雇制限はありません。

2.休業しなかった場合

業務上であっても、休業せずに働いている場合は、解雇制限はありません。

整理解雇とは

2012.03.01

整理解雇

会社が、経営不振のため経営合理化を進め、会社を存続させるために人員削減を行うための解雇を「整理解雇」といいます。整理解雇は従業員に責任がないにもかかわらず、雇用調整の最後の手段として行われる解雇で、一般の解雇と大きく異なります。

整理解雇については、整理解雇の4要件を確認する必要があります。

整理解雇の4要件

1.人員削減を行う経営上の必要性がある事

解雇を必要とする経営上の必要性が当然に求めれられます。最近の判例では、人員削減の必要性は「企業の合理的運営上やむを得ない必要性」としています。

実務的には、人員削減と同じ時期に多数の新規採用をしたり、大規模な設備投資、大幅な賃上げなど人員削減とは明らかに矛盾する経営行動がとられた場合でない限り、使用者の経営判断を尊重するようです。

2.使用者による十分な解雇回避努力が尽くされていること

人員削減を行うには、諸経費の削減・圧縮、不採算部門の閉鎖、採用の停止、残業の削減、操業短縮、一時帰休、配置転換、出向・転籍による人員削減、役員報酬や管理職・一般社員の給与カット、希望退職者の募集など種々の雇用調整策を行って、解雇回避の努力をしなければなりません。使用者が何も解雇回避措置をとることなく整理解雇を行うことは困難です。

ただ、会社が、どのような解雇回避手段をどのような順番で行うかは、決まったものではなく、経営上の必要性の程度で判断します。今現在、経営危機の状態の時と将来の経営危機防止のために整理解雇する場合では求められる解雇回避努力の内容は異なると言えます。

3.解雇の人選に対して客観的・合理的で、公正であること

選定基準には、勤務成績や能力評価、勤続年数や年齢、従業員の再就職の可能性や家計への影響など様々なものがありますが、具体的事情に応じて個別に判断することが必要です。裁判例では、詳細な運用基準(評価対象期間、評価項目、評価方法など)が設定されていることとされています。また、評価基準が評価した人の主観に左右されているなど客観的でないものは合理的とは言えません。

又、不採算部門があり、そこに所属していたからという理由だけで解雇することもできません。

4.労働組合・労働者と十分な説明・協議を尽くしていること

整理解雇は従業員の責任ではない解雇のため、従業員の納得が得られるように誠実に協議・説明を行うことが求められます。労働組合がある場合は労働組合、無い場合は、リストラの対象となる事業の従業員との協議・説明を行う義務があります。

最近の傾向

最近、以前の企業単位の整理解雇から事業部門単位の整理解雇が増えるなど、多種多様な整理解雇を行う傾向にあります。これらを背景に、裁判例も整理解雇規制を緩和する傾向にありますが、実務上は慎重に、以上の4要件に合致するかどうかを検討することがトラブル防止につながると言えます。

懲戒解雇とは

2012.02.29

懲戒解雇

懲戒解雇とは、従業員が就業規則などに違反するようなことを行ない、懲戒事由に該当し、制裁として一方的に会社から労働契約を解消する処分です。

一般的には、解雇予告や解雇予告手当の支払いなしに行われます。

又、退職金の全部や一部が支払われないことが多く、制裁の内で最も重いものです。

懲戒解雇の基準

懲戒解雇には以下の条件が必要です。

  1. 就業規則への明記と従業員への周知
  2. どういうことをすれば、こういう懲戒処分があるということを、具体的に就業規則に明記しておかなければなりません。原則、就業規則に明記していなければその行為に関して懲戒処分できません。  又、就業規則に明記していても、その就業規則を従業員に周知していなければなりません。
  3. 就業規則の規定の合理性
  4. 就業規則の規定の内容が、合理性のあるものでなければなりません。
  5. 懲戒事由に当てはまる行為
  6. 実際に、就業規則の懲戒事由に該当する行為があることが必要です。

  7. 二重処分の禁止
  8. 同じ行為に関し、複数の処分はできません。ただし、同じ行為を何度も繰り返す場合は、その都度処分できます。
  9. 懲戒処分の平等性
  10. 過去に同じような事例があった場合、その事例と今回の事例に対する処分が不平等にならないように考慮する必要があります。
  11. 社会的相当性
  12. 行為と懲戒処分が社会的にみて、相当かどうかも考慮する必要があります。
  13. 弁明の機会、適正手続
  14. 本人から弁明を聴いたり、懲罰委員会を開いたりというような手続きを踏むことも必要です。

解雇予告・解雇予告手当の必要性

  1. 原則、少なくとも30日以上前の予告か、30日以上の予告手当の支払いが必要です。
  2. ただし、所轄労働基準監督署長の「解雇予告除外認定」を受ければ、この手続きを踏まないで、即時解雇できます。ただ、最近は認められることが、難しくなっているようです。
無料相談のお申し込みはこちら