ski経営サポートオフィスの社労士コラム

【10:労基署の調査、是正勧告】記事一覧

労基署によるサービス残業の是正指導

2013.12.28

 厚生労働省が監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成24年度)を発表しました。

 全国の労働基準監督署が、平成24年4月から平成25年3月までの間に、定期監督及び申告に基づく監督等を行い、その是正を指導した結果、不払になっていた割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案の状況を取りまとめたものです。

  • 是正企業数 1,277企業  (前年度比 35企業の減)
  • 支払われた割増賃金合計額 104億5,693万円(同 41億4,264万円の減)
  • 対象労働者数      10万2,379人 (同 14,623人の減)
  • 支払われた割増賃金の平均額は 1企業当たり819万円、労働者1人当たり10万円
  •  割増賃金を1,000万円以上支払ったのは 178企業で全体の13.9%、その合計額は72億2259万円で全体の69.1%
  • 1企業での最高支払額は 「5億408万円」(卸売業)、次いで「3億4,210万円」(製造業)、「29,475万円」(金融業)の順

 払われた割増賃金額の企業平均は1,317万円、労働者平均は12万円でした. そのうち、1企業で1,000万円以上の割増賃金が支払われた事案をみると、企業平均は6,375万円、労働者平均は16万円でした

100万円以上の割増賃金の是正支払状況
業種企業数対象労働者数(人)是正支払額(万円)
製造業 281 18,191 183,101
鉱業 1 23 155
建設業 77 4,747 86,568
運輸交通業 77 3,176 36,218
貨物取扱業 8 95 1,500
農林業 2 32 1,462
畜産・水産業 2 17 264
商業 335 19,970 289,837
金融・広告業 48 12,613 105,925
映画・演劇業 5 84 3,947
通信業 8 370 8,174
教育・研究業 53 4,970 64,599
保健衛生業 115 13,995 64,854
接客娯楽業 101 3,301 83,507
清掃・と畜業 16 443 4,257
官公署 1 80 932
その他の事業 147 20,272 110,393
1,277 102,379 1,045,693
1企業平均額 819
1労働者平均額 10

「ブラック企業」の8割で法令違反 厚労省立ち入り調査

2013.12.21

 厚生労働省は17日、若者の使い捨てなどが疑われる「ブラック企業」の調査を9月に実施し、対象の5111事業所のうち82%に当たる4189事業所で労働基準関係法令の違反が見つかったと発表しました。

 法令違反で最も多いのは「違法な時間外労働」の2241事業所で、全体の43.8%。「賃金不払いの残業」(23.9%)、賃金や勤務時間などの「労働条件を明示せず」(19.4%)、「就業規則の変更届け出など怠る」(16.6%)、「賃金台帳の記載漏れなど」(13.3%)の順となっています。業種別では製造業(1222事業所)や小売・卸売などの商業(821事業所)、運輸交通業(491事業所)などの違反が目立っています。

   法令違反の中には以下のようなものが上げられます。

  1. 社員の約7割を係長職以上の「名ばかり管理職」にして残業の割増賃金を支払わなかった事例
  2. 最大11カ月間の賃金を払わなかった事例  
  3. 営業成績などに応じて基本給を減額した事例
  4. 月100時間以上の残業をさせながら、必要な医師の面談などを受けさせていなかったりした事例
  5. 長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、その後も月80時間を超える時間外労働が認められた事例 
  6. 無料電話相談を契機とする監督指導時に、36協定で定めた上限時間を超え、月100時間を超える時間外労働が行われていた事例
  7. 労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増賃金の単価を低く設定していた事例

 ブラック企業の調査を厚労省が行うのは初めで、違反があった企業に是正勧告をしており、改善が見られない場合は所管の労働基準監督署が労働基準法違反容疑などで送検、社名を公表する方針です。

 調査対象の5111事業所は、若者の離職率の高さや過去の法令違反、これまでに寄せられた相談などを踏まえて厚労省が選んだものです。  同省は「今後も引き続き監督指導をしっかり行っていく」(労働基準局)とブラック企業の監視を続ける考えだということです。 

 適切な対応が求められています。今一度自社の労務管理のチェックを!

労基署調査の前に行うことは

2012.06.10

調査の通知が来たら

調査の通知を受けたら、調査の適正さを確認する意味で、調査官に以下のような質問を投げかけてみて下さい。

  1. 労働者からの申告よる調査かそれとも定時の臨検による調査か?
  2. 調査の目的は何か?
  3. 調査の範囲はどこまでか?
  4. 調査の方法は何によるか?

臨検調査は送検とは違い、あくまで行政指導ですから強制ではありません。ですから都合の良い日に変えてもらうこともできます。

また、用意する台帳などの書類ですが、役所の指示通り全てを用意しなければならないという訳ではありません。ですから、何を調査するのか、それを証明するためにどの帳簿が必要か、会社が納得できる範囲で用意すれば良いと思われます。

ただし、行政指導だからと無視をしても良いということではありません。協力できるところは協力する方が良いことは間違いありません。

その上で、

法律上必要な帳簿はきちんと整備されているか?

36協定などの必要な届をきちんとしているか?

就業規則はあるか?

などやるべきことをやっているかを確認して調査に挑んでください。

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