ski経営サポートオフィスの社労士コラム
【06:社員満足度を向上させたい】記事一覧
- 2014.12.20
- 常勤介護職員の7割以上が給料に不満
- 2014.12.13
- 激増しているパワハラの相談
- 2014.11.15
- 中小企業の高卒初任給(平成26年度)
常勤介護職員の7割以上が給料に不満
日本介護クラフトユニオンが「2014年処遇改善調査」を発表しました。
この組織は、訪問介護ヘルパーや施設介護員など、介護業界で働く労働者を職業横断的に組織するユニオンです。
調査は、2014年9月時点で組合員6,500人を対象に実施し、月給制(常勤職員)1,983人(回収率59.6%)、および時給制(非常勤職員)1,359人(同41.8%)から得た回答を集計したものです。
月平均給料
月給制の8月分は平均22万4,542円、時給制は同13万3,585円で、同じ年の3月分と比べてそれぞれ1.3%と3.5%増加しました。
ただ、増加の原因は、「人手不足によって残業が増加したことによるものと考えられる」としています。
介護職員処遇改善加算
また、「介護職員処遇改善加算」を事業所が申請している割合は、月給制で64.1%、時給制で44.5%。申請している事業所の内賃金にどのように反映しているかについては、
- 「手当として入っている」 月給制35.3%、時給制42.1%。
- 「一時金として入っている」 月給制26.1%、時給制25.1%
- 「基本給に入っている」 月給制6.2%、時給制9.1%
- 「支払われていない」 月給制13.0%、時給制5.3%
- 「分からない」 月給制12.3%、時給制10.4%
申請している事業所の中で、月給制の1/4以上が処遇改善加算について恩恵を受けていなか受けているのに気づいていないことになります。
平均年収
2013年の年収は、月給制で平均304.7万円、時給制で平均156.9万円となっており、月給制の73.9%、時給制の58.7%が「不満」としています。
人材不足
団塊の世代が75歳以上になる2025年までには100万人の介護職員を増やす必要があるといわれています。介護だけでなく、建設、小売、飲食、物流、運輸、ITなど、どの業界も人手不足の状態が続いており人材の奪い合いは今後ますます激化すると見られています。
介護業界では外国人労働者の導入も検討されていますが、当面の対策としては時給アップなどの処遇改善によるしかないのが現状のようです。特に処遇改善加算を職員に支給していない事業所は早急な改善が必要でしょう。
激増しているパワハラの相談
都道府県の相談件数
厚生労働省の調査によると、都道府県労働局等に設置されている総合労働相談コーナーに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は年々増加し、平成14年度時点では6,627件でしたが、 平成24年度には5万1,670件に達し、相談内容の中の割合は20.3%でトップになっています。
パワーハラスメントについての経験の有無
過去3年間に「パワーハラスメントを受けたことがある」と回答した者は回答者全体の25.3%、「パワーハラスメントを見たり、相談を受けたことがある」と回答した者は回答者全体の28.2%、「パワーハラスメントをしたと感じたり、したと指摘されたことがある」と回答した者は7.3%。
パワハラをする側とされる側で、認識に大きなずれがあることが分かります。
具体的な例を上げると
身体的な攻撃
- 足でけられる(女性、50歳以上)
- 胸ぐらを掴む、髪を引っ張る、火の着いたタバコを投げる(男性、40歳代)
- 頭をこずかれた(男性、50歳以上)
精神的な攻撃
- 皆の前で大声で叱責。物をなげつけられる。ミスを皆の前で大声で言われる(女性、30歳代)
- 人格を否定されるようなことを言われる。お前が辞めれば、改善効果が300万出るなど会議上で言われた。(男性、20歳代)
- 同僚の前で無能扱いする言葉を受けた。(男性、50歳以上)
人間関係からの切り離し
- 挨拶をしても無視され、会話をしてくれなくなった。(女性、30歳代)
- 報告した業務への返答がない。部署の食事会に誘われない。(女性、30歳代)
- 他の人に「私の手伝いをするな」と言われた。(男性、50歳以上)
過大な要求
- 終業間際に過大な仕事を毎回押し付ける。(女性、40歳代)
- 一人では無理だとわかっている仕事を一人でやらせる。(男性、20歳代)
- 休日出勤しても終わらない業務の強要。(男性、30歳代)
過小な要求
- 従業員全員に聞こえるように程度の低い仕事を名指しで命じられた。(女性、20歳代)
- 営業なのに買い物、倉庫整理などを必要以上に強要される。(男性、40歳代)
- 草むしり(男性、50歳以上)
個の侵害
- プライベートな事を聞いてきたり、相手は既婚者であるにも関わらず独身の私にしつこく交際を迫った(女性、20歳代)
- 交際相手の有無について聞かれ、過度に結婚を推奨された。(女性、30歳代)
- 個人の宗教を、皆の前で言われ、否定、悪口を言われた。(女性、50歳以上)
あきらかにパワハラだと一目瞭然なものもありますが、やっている本人はパワハラだと思っていないかもしれないものもあります。この辺りが認識の大きなずれにつながっているのでしょう。
厚生労働省よると、パワハラとは、
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為 」
で、上司から部下への行為に限ったものではなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものも含みます。
パワハラの種類は
- 暴行・障害(身体的な攻撃)
- 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
- 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切離し)
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
- 業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや与えないこと(過小な要求)
- 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
の6つに類型化される。としています。
パワハラ対策
パワハラ対策として企業が行ったもので一番多いのが、、「管理職向けの講演や研修」で、取組実施企業の64.0%で実施され、「就業規則などの社内規定に盛り込む」(57.1%)が続いています。
効果を実感した比率が最も高いのは、「管理職を対象にパワハラについての講演や研修会を実施した」で、実施企業の77.3%で効果を実感しています。
また、「一般社員を対象にパワハラについての講演や研修会を実施した」(70.6%)、「アンケート等で、社内の実態把握を行った」(62.1%)、「職場におけるコミュニケーション活性化等に関する研修・講習等を実施した」(61.2%)などが続いています。
管理職や一般社員に直接的に働きかける取組において、効果を実感している比率が高くなる傾向が見らます。
パワーハラスメントの予防対策には、パワハラについての研修制度などを取り入れ、上司がパワーハラスメントについて理解した上で、部下とのコミュニケーションを行うことにより、パワーハラスメントが生じにくい環境を作り出すことが重要だといえそうです。
中小企業の高卒初任給(平成26年度)
厚生労働省は13日、2014年の初任給結果を公表しました。高卒者の初任給は前年比1.8%増の15万8,800円で、男女別では、男性が1.5%増の16万1,300円、女性は1.9%増の15万4,200円でした。
兵庫県は、男女計16万1,100円、男性16万2,100円、女性15万7,800円
大阪府は、男女計16万7,800円、男性16万9,900円、女性16万3,400円
産業別にみた初任給
産業 | 男女計 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
鉱業,採石業,砂利採取業 | 16万5,700円 | 16万7,200円 | 15万4,800円 |
建設業 | 16万4,900円 | 16万5,300円 | 15万7,600円 |
製造業 | 15万8,900円 | 16万1,200円 | 15万2,900円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 15万9,500円 | 15万9,600円 | 15万7,700円 |
情報通信業 | 16万4,700円 | 17万4,200円 | 16万100円 |
運輸業,郵便業 | 15万8,200円 | 15万9,400円 | 15万1,700円 |
卸売業,小売業 | 16万1,600円 | 16万4,200円 | 15万9,200円 |
金融業,保険業 | 14万5,900円 | 14万7,200円 | 14万5,700円 |
不動産業,物品賃貸業 | 16万2,200円 | 16万5,900円 | 15万4,100円 |
学術研究,専門・技術 | 16万100円 | 16万3,600円 | 15万3,900円 |
宿泊業,飲食サービス業 | 15万5,000円 | 15万7,700円 | 15万3,300円 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 16万3,500円 | 16万5,300円 | 16万2,800円 |
教育,学習支援業 | 15万4,600円 | 16万7,100円 | 15万2,800円 |
医療,福祉 | 15万2,300円 | 15万3,700円 | 15万1,700円 |
複合サービス事業 | 14万4,200円 | 14万3,300円 | 14万4,800円 |
サービス業(他に分類されないもの) | 15万8000円 | 15万9,100円 | 15万5,500円 |
高いのは、平均を100として、建設業、情報通信業が平均の104%(男女計)、逆に低いのは、金融業・保険業の92%、複合サービス業の91%でした。
男女別で最も高いのは情報通信業(男性)の108%、生活関連サービス業・娯楽業(女性)106%で、最も低いのは複合サービス業(男性)の89%、金融業・保険業、複合サービス業94%(女性)でした。
企業規模別
企業規模別でみると、
従業員数100~999人の中企業
男女計: 15万8,100円(前年比2.1%増)
男性: 16万1,000円(前年比2.0%増)
女性: 15万3,900円(前年比1.9%増)
従業員数10~99人の小企業
男女計: 15万8,300円(前年比2.7%増)
男性: 16万1,700円(前年比2.3%増)
女性: 15万1,800円(前年比2.5%増)
新規採用時の給料の額
高卒の初任給は、「中小企業で新人を採用する場合に給与をいくらにするか?」の目安とすることができます。
地域、従業員数、産業別の給与を平均額と比較していけば、その地域・業界での高卒の初任給の相場が分かります。
その初任給の相場と今の求人の給料との差がある場合は、人材を確保することはかなり難しくなるでしょう。
新人の給料が上がれば、今まで働いてもらっている人の給料も見直さないといけないかもしれません。
人材不足で困っている事業所が多くなってきていますが、処遇面で見劣りしていないか一度見直してみるよい機会です。