ski経営サポートオフィスの社労士コラム

【09:残業代の請求】記事一覧

残業代を減らす①

2012.04.22

残業は事前許可制にする

残業といってもタイムカードの打刻時刻だけでは、本当にその時間残業していたのかどうかわかりません。電車や飲み会までの時間調整かも知れませんし、同僚や先輩などへの付き合い残業かも知れません。

このような勝手な残業をさせないためにも、残業は直属上司の許可を必要とし、上司の許可のないものは認めないようにします。この場合、業務の内容とそれにかかった時間を報告させ、労働時間の管理を厳格にする必要があります。

ただし、あきらかに所定時間内に終わらないような量の業務を命じておいて、残業を認めないというのは、残業を命じたのと同じ扱いを受けることになります。

所定の時間を過ぎても居残っている社員には、残業を認めないのであれば、帰宅の命令を出してください。居残りを黙認すれば残業が必要なことを認めたことになりますので、注意が必要です。

又毎回毎回許可をするのは煩雑すぎるというのであれば、次回のコラムで紹介する、固定残業代の賃金制度と併用して、固定残業代に見合う残業時間を超えて残業をする場合は許可を必要とし、上司の許可がない場合は残業を一切認めないようにするという方法もあります。

このような制度を就業規則に明記し、従業員に十分説明することが肝心です。

細切れリフレッシュ休憩時間を設ける

昔から大工さんは、10時と3時の1日2回、お昼の休憩とは別の時間に15分ずつ休憩をします。これを会社の制度に採用します。

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働時間中に与えなければなりません。

通常は昼食に1時間だけの休憩という会社がほとんどですが、午前と午後に15分ずつ、もしくは午前に1回午後に2回10分ずつ合計30分の休憩をはさむことで、30分退社時間を延ばすことができます。その休憩をリフレッシュタイムとし、たばこやトイレなどはこの間に済ませてもらうようにします。

これで、1日30分、1カ月22日として、11時間残業代を削ることができます。

またリフレッシュ休憩を取ることで仕事の効率も上がるため有効な手段だと言えます。昔の人の知恵は偉大ですね。

残業代をめぐる環境の変化は

2012.04.14

残業代請求の背景

多重債務者をターゲットした「過払い金請求」は、一時ブームと言えるほどのにぎわいをみせましたが、それも一段落したように思えます。

この「過払い金請求」で一番利益を得たのは、一部の弁護士や司法書士です。そしてブームが一段落した今、次のターゲットとされているのが「未払い残業代請求」です。

実際、「残業代請求」とインターネットで検索すれば、様々な広告を見ることができます。私が以前勤めていた会社でも32億円もの「未払い残業代」を支払っています。

なぜ残業代の請求が急増しているのでしょうか?

  1. まず1つは、労働者の権利意識の高まりが上げられます。不況で会社を辞めざるを得なかった労働者や賃金の引き下げなどで労働者に「少しでも多くのお金をもらいたい。」といった意識が働いています。
  2. 損害保険会社の方と話す機会があったのですが、不況になり、以前はその程度では請求しなかったような内容の保険金の請求が増加しているそうで、そこにもこういった意識が働いているのだろうと分析されていまいした。

  3. 2つ目の要因として、「過払い金請求」の次のターゲットとして、弁護士などが積極的広告を出しており、それを見た労働者が「自分ももらえるかも」と考えるようになってきたことが上げられます。

又、弁護士とまではいかなくても、労働組合や労働基準監督署から残業代を支払うように言ってこられる場合もあります。

このような場合どのように対処したら良いのでしょうか?

会社は言いなりに残業代をしはらわなければならないのでしょうか?

 

労働基準法は労働者を守るための法律ですから、労働者側は、その法律をたてに会社の不備をついてきます。

このような「残業代の請求」から会社を守るために、就業規則などにきちんと対策を明記することと、正確に制度を運用していくことが重要です。

「残業代の請求」で会社を倒産の危機から守るために、あらゆる対抗策を講じましょう。

残業代の計算の仕方は

2012.01.07

残業代の計算方法

  1. 残業代の計算方法は2種類あります。

労働基準法で決められた法定労働時間は、「1日8時間以内、1週40時間以内」と決まっています。

割増賃金は、この法定労働時間を超えた場合に、支払わなければならないとなっています。  例えば1日の所定労働時間が、午前9時から午後5時までの7時間労働の会社の場合だとします。この場合残業しても1日8時間との差の1時間については、割増賃金ではなく、通常の時間単価で計算すれば良いことになります。   一方、法定労働時間を超えて労働した場合や法定休日に労働した場合、午後10時から午前5時までの深夜に労働した場合には、割増賃金の対象になります。 割増賃金の計算は、次の金額に時間外労働の割増分や休日労働の割増分、深夜業の割増分を掛けて計算します。

  1. 時間によって決められている賃金は、その金額
  2. 日によって決められている賃金は、その金額を1日の所定労働時間数(日によって労働時間が違う場合は、1週間の1日の平均時間)で割った金額
  3. 週によって決められている賃金は、その金額を週の所定労働時間数(週によって労働時間が違う場合は、4週間の1週平均時間)で割った金額
  4. 月によって決められている賃金は、その金額を月の所定労働時間数(月によって労働時間数が違う場合は、1年間の1か月平均時間)で割った金額
  5. 月、週以外の一定期間によって決められている賃金は、1.~4.に準じて計算した金額
  6. 出来高払い制その他請負制によって決められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合は、賃金締切期間)に計算された賃金の総額をこの期間の総労働時間で割った金額
  7. 1.~6.の2種類以上の賃金による場合は、それぞれの部分について計算した金額

時間単価の出し方

時間給:そのまま

日給: 日給÷1日の所定労働時間

月給: (基本給+諸手当)÷1か月の平均所定労働時間

割増賃金の計算から除く賃金

割増賃金の計算から除く賃金として、以下の賃金が定められています。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1か月を超えるごとに支払われる賃金

これらの賃金は従業員によって異なる手当なので割増賃金の計算から除くことになっています。ただし、どの従業員にも同じように支払いをし、就業規則に記載されていてる場合は除くことはできません。

例えば1律10,000円を支払っており、その旨が就業規則に記載されている場合などは計算に入れることになります。

割増賃金の計算の仕方

残業等の種類 計算式
法定労働時間内残業 時間単価×1.00
法定労働時間外残業 時間単価×1.25
法定休日労働(週1回の休日) 時間単価×1.35
法定外休日労働(週2回以上の休日)1週40時間を超える時間 時間単価×1.25
深夜労働 時間単価×0.25
深夜労働+法定時間外労働 時間単価×1.50
深夜労働+法定休日労働 時間単価×1.60
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